電車やバスの優先席が空いていたら、まだ若い私たちでも座っていいのでしょうか?
なんとなく周りの目が気になって、優先席に座れなかったことはありませんか?
空席があるのに最寄りの駅で降りるまで立ちっぱなしでモヤモヤ…。
そんなモヤモヤを解消するために、優先席とはどんな席なのかあらためて考えてみましょう!
座っていいの? 座ってはいけないの?
はっきりさせることができたら、これからはモヤモヤしないで電車に乗れるようになるはず!
優先席は、若い私たちが座ってはいけない席?
電車の優先席って、お年寄りや体の不自由な人以外は座っちゃダメ?
お年寄りや体の不自由な人、乳幼児を連れた人など、特に座席を必要としている人が優先して座れるように設けられた座席が電車やバスの優先席です。
座席が必要な人がいれば優先されるべきですが、特定の人だけが使える専用席とは異なります。
専用席ではないので、特定の人以外が座ってはいけないというものではありません。
特別な事情のない若い人でも、座ってはいけないというルールはないはずです。
優先席は法律で定められたものではない
電車やバスに設けられた優先席。
お年寄りや体の不自由な人が優先して利用できる席…というイメージですよね。
実は、優先席は法律で定められているわけではなく、明確なルールも罰則も存在しません。
あくまで、乗客の協力が期待される席。
使い方は、人それぞれの考えに委ねられています。
優先される人、5つの例
上の画像は、優先席の近くに掲示されている案内です。
優先席を優先的に使ってほしい人の例が、ピクトグラムでわかりやすく表現されています。
よく見かけるピクトグラムは、次の5つです。
- 杖をついている人
(→お年寄り) - 松葉杖をついている人
(→ケガや障がいがある人) - 体の中にハートマークが描かれた人
(→外見ではわからない障がいや病気がある人) - 小さな子供を抱いている人
(→乳幼児を連れている人) - おなかの大きな人
(→妊婦さん)
どんな人に優先席を使ってもらいたいのか、わかりやすく伝えられていますね。
この5つのピクトグラムが指す人に限るというルールがあるわけではありませんが、目安にはできるでしょう。
優先席と専用席
どこか曖昧な優先席という名称。
実は、優先席に思うような効果が出なかったため、「専用席」と名称が変更された交通機関があります。
札幌市営地下鉄です。
一部の座席を高齢者をはじめとした対象者専用の席に指定しているそうです。
「専用」なので、空席であっても健康に問題のない若者が利用することはほとんどないとか。
優先席とは求められるマナーが異なるようですが、札幌市では専用席が市民に馴染んでいるようですね。
- 優先席に、特定の人以外が絶対に座ってはいけないというルールはありません。
優先席に空席が…座っても大丈夫?
じゃあ、もし優先席が空いていたら、私も座っていいのかな?
優先席が空いていて誰も座る様子がないこと、ありますよね。
優先席に空席がある場合、どんな人が利用しても問題はないと考えられます。
交通局などの回答例もあるようです。
交通局などの回答例
仙台市交通局の関係者によれば、優先席とは必ず空席にしておかなければならない席ではなく、空いている優先席に座ることにも問題はないようです。
その一方で、乗客には思いやりを持った交通機関の利用を願っているといいます。
出典:「河北新報ONLINE」(株式会社 河北新報社)
(https://kahoku.news/articles/20220728khn000034.html)
(2022年7月29日更新)
(2023年6月21日に利用)
京都市交通局でも同様の回答が見られます。
市営バスについて、優先席を常に空けておくよう案内はしていないとのこと。
優先席に空席があれば、誰が座ってもいいとしています。
出典:「FNNプライムオンライン」(プライムオンライン編集部)
(https://www.fnn.jp/articles/-/5823)
(2018年8月2日更新)
(2023年6月21日に利用)
大分県庁のウェブサイトでは、優先席の利用方法について県民の声に対する回答が。
高齢者や小さな子どもを連れている人などが安心して利用できるよう取り組みをおこなっているとするなかで、優先席を誰でも利用できる席と位置づけています。
出典:「県政へのご提言の紹介」(大分県庁ウェブサイト)
(https://www.pref.oita.jp/site/teigen-shokai/31037.html)
(2019年8月20日更新)
(2023年6月21日に利用)
- 優先席が空いている場合、誰が利用しても問題はないと考えられます。
優先席を利用するとき、注意することは?
私が優先席を利用しても大丈夫なんですね。
もし座るとしたら、注意したほうがいいことはありますか?
優先席を利用する場合、ほかに座席を必要としている人がいないかどうか気にしておくといいですね。
座席を必要としている人が乗り込んできたらすぐに席を譲れるように、席を立つ準備を整えておきましょう。
席を譲るための気配りと準備
空席があれば誰が座ってもいいとされる優先席。
とはいえ、お年寄りなどが乗り込んできた場合は、すぐに席を譲れるといいですね。
停車駅では、いつでも席を譲れるように意識しておくといいかもしれません。
新しく乗り込んできたお客さんはいるか、座席を必要としている人はいないか目を配りましょう。
また、すぐに席を立てるように身なりを整えておくと、スムーズに席を譲ることができますよ。
外見ではわからないこともある
パッと見ただけでは座席が必要な人かどうかわからないケースもあるので注意が必要です。
たとえば、杖をついたお年寄りや赤ちゃんを抱いたお母さん。
たいていの場合、パッと見て座席が必要な人だと判断できるでしょう。
妊婦さんはどうでしょう。
妊娠週数が進んでいればおなかが大きくなっているので、外見で判断できそうです。
でも、おなかの大きさは妊娠週数や個人差で変わります。
おなかの膨らみが目立っていなくても、乗車してきた女性は妊娠中で、座席が必要かもしれません。
一目見ただけではわからなくても、体のどこかをケガしていることも。
病気を患っている可能性もあります。
外見からは判断が難しくても、座席を必要としている人はいます。
その点には、注意が必要です。
ヘルプマークとマタニティマーク
外見からは判断しづらい病気などを抱えている人が、周囲の人から助けてもらいやすくなるように作成されたのが「ヘルプマーク」です。
「マタニティマーク」も同じですね。
おなかが目立たなくても、妊娠中だと周囲に知らせることができます。
乗り込んできたお客さんがヘルプマークやマタニティマークを身に着けていたら、その人は座席を必要としている可能性が高いかもしれません。
あなたの体調が良好であれば、ぜひ席を譲るようにしましょう。
- 優先席に座る場合、座席を必要としている人がいないかどうか目を配ったり、席を譲る準備をしておくといいでしょう。
- 座席を必要としていても外見からは判断が難しい人もいるので、注意が必要です。
うまく席を譲れない…どうしたらいい?
席を譲るのが苦手。
うまく声をかけたりできないんだけど、どうしたらいいですか?
席を譲るのって案外難しいですよね。
相手が座席を望んでいるかどうか自信がないと、声をかけるタイミングを逃してしまうことも。
誰かが乗り込んできた時点で一度席を立つというのも1つの方法です。
乗り込んできた人がいたら、一度席を立つ
電車が停車した駅で、新しくお客さんが乗り込んできた場合。
それがお年寄りや妊婦さんであってもなくても、一度席を立つのもいいでしょう。
直接声をかけなくても、お年寄りなどと自然に席を替われるかもしれません。
外見からは判断できない妊婦さんなどがいた場合にも、うまく優先席を譲れるかもしれません。
空いたままになるようなら、また座り直してもいいでしょう。
もちろん、意図しない相手が座ってしまう可能性もあります。
停車するたびにいちいち立ち上がるのは少し面倒でもあります。
それでも「声をかけて席を譲るのは苦手だけど、座席が必要な人がいるなら譲りたい」という場合は、一度試してみてはいかがでしょうか。
- 直接声をかけて席を譲るのが苦手なら、誰かが乗り込んできた時点で一度席を立つ方法もあります。
優先席が空いていても、若い人が利用しない理由は?
優先席が空いていても、座らない人が多いのはどうしてだろう?
優先席に空席があっても座らない若者は多いといいます。
優先席に座らないのには、以下のような理由があるようです。
- 優先席は、お年寄りや体が不自由な人などが利用するべき席だという意識が強い
- 周囲の目が気になる
理由その1 お年寄りなどが利用するべき席だという意識が強い
- お年寄りなどが乗ってきたときのために、空けておいたほうがいいと思う
- お年寄りや妊婦さんが乗ってきたときにうまく席を譲れる自信がない
以上のような理由から、空席があっても優先席を利用しないという人がいます。
「優先席とは、お年寄りや体が不自由な人などが利用するべき席である」という意識が強いようです。
前述のように、優先席は専用席ではなく、必ず空席にしておくべき席でもありません。
空いているなら、若い人が座っても責められるようなことではないはずです。
一方で、「空けておいたほうが必要な人が座りやすいだろう」という思いやりの気持ちから、あえて座らない人もいるでしょう。
当然、無理に座らなくても問題はありません。
座る人も、座らない人も、お互いに意見を押し付けないのが大切です。
理由その2 周囲の目が気になる
- 病気もケガもない若い人が座っていると、非常識だと思われる気がする
- 以前、空いていた優先席に座っていたら注意されたことがある
やはり、以上のような理由で優先席に座るのを避ける人もいるようです。
優先席は誰でも利用できることが、あまり知られていないのかもしれません。
座席を必要としている人に譲る気持ちと用意があれば、空いている優先席を利用するのは注意されるようなことではないはずです。
若者で埋まった優先席の前にお年寄りが立っているという状況であれば、眉をひそめたくなるのもわかりますが…。
とはいえ、座っている若者のなかにも妊娠中の人や病気を抱えている人がいるかもしれませんよね。
優先されるべきは誰か、なかなか難しい問題です。
- 優先席に空席があっても座らないのには、「お年寄りなどが座るための席だという意識が強い」「周囲の目が気になる」といった理由があるようです。
まとめ
- 優先席は、優先される人以外絶対に座ってはいけない席ではない
- 優先席に空席がある場合、誰が座っても問題はないと考えられる
- 優先席に座る場合、座席を必要としている人がいないかどうか目を配ったり、席を譲る準備をしておくとよい
- 座席を必要としていても外見からは判断が難しい人もいるので、注意が必要である
- 声をかけて席を譲るのが苦手なら、誰かが乗り込んできた時点で一度席を立つ方法もある
- 優先席に空席があっても座らないのには、「お年寄りなどが座るための席だという意識が強い」「周囲の目が気になる」といった理由がある
優先席、空いているときは座っていいんですね!
これからは、スッキリした気持ちで電車やバスを利用できます。
もちろん、周囲に目を配りながら。