「天才発明家」と聞くと真っ先に思い浮かぶのがエジソンです。
子どものときから好奇心旺盛だったエジソンは、疑問に思ったことは何でも質問を連発してくるので先生たちの頭を悩ませていました。結果的に小学校を中退し独学で化学実験に興味を持ち、それが後の発明へと繋がっていったことは有名な話です。
そして21世紀の現代でも子ども時代から才能を開花させ、生活に役立つ発明や研究でその名をとどろかせている方がたくさんいます。
そこで今回は大人顔負けの発明で便利なアイデア品を生み出し、特許まで取得した天才発明家5組をご紹介します。
子どもたちによるアイデア商品
「道脇愛羽(えこ)さん」中学2年生(2021年当時)
不可能とされてきた「緩まないねじ」を開発した道脇裕氏の一人娘です。道脇さんのお祖父さんやご両親も数学や物理の世界で研究者としてご活躍をされていました。
愛羽さんもそんな才能溢れるご家族の下で育まれてきました。確実に天才発明家のDNAを引き継いでいるように感じます。
足裏部分嵩上げ体
こちらはなんと2才のときに発明し特許を取得しました。
足裏に装着することで好きな高さに調整できます。
無針弧(むしんこ)ンパス
小学2年生のときに発明し、第74回 全日本学生児童発明くふう展では「恩賜記念賞」を受賞しました。
一般的なコンパスでは針や鉛筆の間に障害物があると円を書くことが難しく、大きい円を書くことも不可能です。
この商品は針を使うことなく大輪と小輪が転がる際の軌跡を利用して円を書くことができ、目盛りが付いているので、大小様々な円に対応ができます。
避難用縄バシゴ「斜楽」
小学6年生のときに発明し、第62回東京都児童生徒発明くふう展では「東京都知事賞」を受賞しました。
ある日集中豪雨のニュースで避難している被災者の様子を見た母親からのある一言を聞き、何とか力になれないかとこの発明を思いついたそうです。
収納されている状態で高所に置き下ブタを開くと縄のはしごが回転しながら落下し、斜め状のロープが拡がることによって縄のはしごが階段のようになり、安定した状態で昇り降りができる商品です。
発明ノートを見てみると、数学理論を駆使し父親や周りの大人にアドバイスを得ながら作り上げていった努力が伝わってきます。
この年齢でこれだけの発明を生み出せるのはさすがの一言です。
将来が非常に楽しみな一人ですね。
「関本 創(あらた)くん」福島県在住中学1年生(2021年当時)
名前の「創」を体現しているかのように工作やものづくりをすることが大好きな創くん。現在は様々な商品を作って販売をしたり、本の出版等も手掛けています。
こちらの発明も、小学生の時に夏休みの課題で挑戦したことがきっかけで生まれました。
ドライヘルパー
物干し竿やハンガーに取り付けた後に上から洗濯物を掛けて使います。空洞が出来ることで空気の通りが良くなり洗濯物が早く乾きます。
きっかけはお母さん。洗濯物の乾きが遅いことに悩む声を聞き、それらの問題を解消する商品を作ろうと発明に至りました。
材料の選定や乾きやすい形状等を模索し、収納時もかさばらないことを考慮しながら試作を繰り返していきました。様々な改良を経た後に特許を取得し、現在はお店等で販売されるまでになりました。
「神谷 響くん」「神谷 明日香さん」愛知県在住
一見どこにでもいる普通の姉弟ですが、実は二人揃って発明、特許を取得したスーパー姉弟なのです。
こちらの商品はお祖父さんを助けてあげたいという優しさから生まれました。
缶とペットボトルの分別が出来るごみ箱
上部の入口に空き缶やペットボトルを入れるだけで自動的に分別してくれます。
スーパーを経営している保一さんは毎日、店頭の自販機横にあるごみ箱に捨てられている缶やペットボトルの分別作業をしています。その姿を見た姉の明日香さんが、分別作業をもっと楽に出来ないかと思ったことがきっかけとなり発明に至りました。
最初は磁石と樹脂製シートの特性を利用してアルミ缶とスチール缶を分別できるごみ箱を発明し、特許を取得しました。そんな姉の姿を追いかけるかのように、次は響君が缶とペットボトルを分別出来る仕組みを発明しました。
実はこちら、明日香さんの発明と合作した最新のごみ箱なのです。姉弟の優しさがたっぷりと詰まっているこの商品、お祖父さんはさぞかし喜ばれたことと思います。
「守田貫一郎くん」神奈川県在住小学6年生(2019年当時)
同居しているお祖母さんのために呼び鈴を自作したという心優しい貫一郎くん。
日頃からお母さんのお手伝いをしており、こちらの発明もそんな場面でひらめきました。
将来の夢はまだ決まっていないそうですが、これからも困っている人に対して発明で手助けをしていきたいと力強く語っています。
そんな心優しい気持ちから生まれるだろう発明はこれからも色んな方の手助けとなることでしょう。
まとめるくん
容器にいれた洗濯バサミが自動的に同じ向きに収納され、使う際も一つずつ出すことが出来るアイデア品です。
洗濯物を取り込む際、使い終わった洗濯バサミを収納するときの手間をもっと楽にできないかと思い発明しました。最初は夏休みの課題作品として作った工作品でしたが、「市児童生徒創意くふう展」のコンテストにて市長賞を受賞し、当時審査員長を務めていた弁理士の福村直樹さんの勧めで特許を取得しました。
「遠藤里紗さん」小学4年生(2018年当時)
(株) AI Samuraiが取り組んでいるプロジェクト「発明寺子屋」に参加したことがきっかけで今回の発明に至りました。
「Not Wet!!」
水飲み用の蛇口に被せるだけで出てくる水の量を調整できます。
公園の水飲みの蛇口を捻ると水が勢いよく出てきて洋服などが濡れてしまうことがよくありますよね。それが解決できないかと思いついたアイデア品です。
試作品は粘土を使っています。水の勢いをどうしたら止められるのかどういった材料が適切なのか等、AIによる分析結果や周りの大人や友だちに相談しながら形にしていく過程が非常に難しかった分、出願までたどりつけたことに達成感を得られたようです。
その後、無事特許を取得することができました。
天才発明家を生み出せ
今回ご紹介してきた子ども達はいずれも各団体が募集している作品展で入賞、またはプログラムに参加したことで発明の芽が花開きました。
天才「ギフテッド」を知っていますか。
元々備わっている知能や独創的な思考を持ち合わせている人を「ギフテッド」と呼びます。由来は贈り物を意味する「ギフト」から来ており、神から贈られた資質であるという意味が込められています。
また発達障害の特徴と似ている面もあり、誤診されることも少なくありません。
しかし今現在、ギフテッド教育の受け皿がないためフリースクールや特別支援学級に通っているケースがほとんどです。
ギフテッドは興味ある分野や学習内容には探求心を持ち、学びを深めていくことが得意です。その結果非常に高いレベルまで知識を高めることが出来ますが、関心が持てない分野については興味を持たずそれらの学習を得る機会を放棄してしまう傾向にあります。
そのため、周囲と足並みを揃えて学習することが難しく集団生活に馴染んでいくことができないために周りや本人が困ってしまうことが多くあります。
私たち大人は、ギフテッドのみならず子ども達一人一人が持っている能力や発想をどう見つけ出し伸ばしてあげられるかが、これからの未来に掛かっているような気がします。
国を挙げて次世代の発明家を応援
ギフテッドを発見することは大変難しいです。またギフテッドへの指導や教育等においてはまだまだ課題が山積しており、国はギフテッドの調査や支援に取り組んでいる途上にあります。
最後に
いかがでしたか。今回は天才発明家の子ども達を紹介しました。
これだけのアイデア品を生み出したのが子どもであることに、非常に驚きました。
子どもは純粋無垢なイメージでとらわれがちですが、その小さな体や頭をたくさんフル回転させて、既存に囚われず、受難に生み出される数々のアイデアは、私たち大人を驚き楽しませてくれるものなのだと希望を感じさせてくれました。
そして今回ご紹介した子どもたちの発明のきっかけや原動力は、家族や友人といった大切な人を想う優しさから生まれていました。
だからこそ誰にとっても優しくて便利な商品が生まれてくるのですね。
小学生の子どもを育てている私も、自分の子どもには天才発明家、とまではいかなくても、優しさあふれる人間に育ってほしいと切に願っています。