マラソンの大会にペースメーカーがいる光景も、最近は見慣れてきました。
とはいえ、ペースメーカーって謎が多いと思いませんか?
いったい誰が何のために走っているの?
走っていいのは何キロまで?
前にいるランナーを抜いていいの?
気になる点がいろいろありますよね。
そこで今回は、ペースメーカーに関する5つの疑問について調査しました。
マラソンのペースメーカーは何のためにいるの?
ペースメーカーが走るのは、おもに選手に好タイムを記録させるためです。
目的は選手の好タイム達成
ペースメーカーの役割は、好タイムでゴールするのに適したペースで選手を先導することです。
正しいペースで先導してもらえれば、選手が序盤から飛ばしすぎてバテてしまうリスクが少なくなります。
その結果、苦しい終盤に体力を残しておけるのです。
ペース管理以外のメリットも
ペース管理以外に、ペースメーカーは選手を風の影響から守る「風よけ」の役割を果たす場合もあります。
マラソンや駅伝で、前の選手をあえて追い抜かず、後ろにぴたりとついて走っている選手を見たことはありませんか?
先頭で走ると風の影響を受けてしまうため、前の選手を風よけとして利用しているんですね。
同様に、ペースメーカーに前を走ってもらえば、選手は風の影響をあまり受けずに済みます。
- ペースメーカーの目的は、選手が好タイムでゴールするためにペース管理や風よけの役割を担うこと
ペースメーカーはいつから存在していたの?
1980年代の中ごろには、ペースメーカーの役割を担うランナーがいたとされています。
1980年代にはすでに存在した?
「ペースメーカー」という言葉が当たり前になったのはいつからでしょう?
「子供のころにはあまり聞いた覚えがない」という人もいるかもしれません。
私も、比較的新しい言葉のような印象を持っていました。
ところが、1980年代にはすでにペースメーカーが存在したといいます。
公表されたのは2000年代
実は、ペースメーカーの存在は2000年代に入るまで公表されていなかったそうです。
マラソン中継でも、実況や解説がペースメーカーの役割に触れることはなかったんだとか。
国際陸連が条件付きでペースメーカーの起用を認めたのが2002年。
日本で初めてペースメーカーの起用が公表されたのは、2003年開催の福岡国際マラソンでした。
「ペースメーカー」という言葉がお茶の間に広まったのは、日本でその存在が公表された2003年以降になりますね。
出典:スポニチアネックス(https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2020/12/23/kiji/20201222s00057000459000c.html)(2024年3月5日に利用)
- 1980年代中ごろにはすでにペースメーカーの役割は存在したが、公表されていなかった
- 日本で初めてペースメーカーの存在が公表されたのは、2003年開催の福岡国際マラソンだった
どんな人がペースメーカーに選ばれるの?
以下の条件を備えている人が、ペースメーカーに選ばれる傾向があるそうです。
- 安定感のある走りができる
- 選手に安心感を与えられる
その1 安定感のある走りができる
ペースメーカーは、設定されたペースを守って選手を先導するのが役割。
求められるのは、1番に安定感です。
たとえ大会で勝てる力のあるランナーでも、自分の気分次第でペースを上げたり下げたりする人はペースメーカーには向きませんね。
その2 選手に安心感を与えられる人
走力だけでなく、性格もペースメーカーの選定にかかわる場合があるといいます。
選手たちが安心してついていけるような性格の持ち主が選出されやすいようです。
優しい人、頼もしさを感じる人、落ち着きのある人などが好まれるとか。
思わず、これまでにペースメーカーを務めた日本人選手の顔を思い浮かべてしまいました。
きっと優しい性格の持ち主なんでしょうね。
- ペースメーカーには、安定感のある走りができる人が選ばれる
- 選手に安心感を与える性格も、ペースメーカー選出にかかわる場合がある
ペースメーカーは何キロまで走っていいの?
ペースメーカーが走る距離に決まりはありません。
何キロまで先導するか、依頼者が判断するケースが多いようです。
何キロまで先導するかは依頼者の判断
マラソンの中継を見ていると、ペースメーカーがレースの途中で選手の先導をやめてコースを外れていますよね。
30キロあたりまで先導するケースが多い印象を受けますが、どの時点で役割を終えるのか特にルールはないようです。
特にルールがないため、選手を先導する距離を決めるのはおもにペースメーカーの依頼者です。
依頼者はたいていの場合、大会の主催者だそうです。
ゴール直前まで先導してもOK
何キロまでと明確に決まっていない以上、ゴール直前まで先導してもかまわないことになります。
実際に、2022年の大阪国際女子マラソンでは、3人の男性ペースメーカーがゴール間際まで優勝した女子選手と一緒に走っていたようです。
何キロまで先導しても問題はありませんが、「レースの面白味が薄れる」といった意見もあります。
好記録とレースの面白さ。
どちらが優先されるべきかは、大会によっても変わってくるのかもしれません。
- ペースメーカーが何キロまで選手を先導するかは、依頼者が判断するケースが多い
- ゴール直前まで先導しても問題ないが「レースの面白味が薄れる」などの意見もある
先導を終えたペースメーカーは、ほかの選手を抜いて優勝してもいいの?
契約の内容によっては、先導を終えたペースメーカーがほかの選手を抜いて優勝しても問題ありません。
抜いていいんだ!
実際にペースメーカーが優勝した例もあるようですよ。
ほかの選手を抜いていい
選手を先導する役割を終えたあとは、ほかの選手を抜いてもかまいません。
契約した役割を終えれば、ペースメーカーも1人の選手になるからです。
実際に、川内優輝選手はペースメーカーを務めた2021年の大阪国際女子マラソンを完走しています。
ちゃんとタイムも記録されるそうですよ。
優勝してもいい
役割を終えたあとは1人の選手なので、ペースメーカーが優勝したとしても問題ありません。
ペースメーカーの優勝は、世界に複数記録されているそうです。
2つの例をご紹介します。
ベルリンマラソン(2000年)
ペースメーカーとして出場したサイモン・ビウォット選手が完走して優勝しました。
第22回かすみがうらマラソン兼国際盲人マラソンかすみがうら大会(2012年)
ペースメーカーとして出場した川内優輝選手が完走して優勝しました。
出典:スポニチアネックス(https://www.sponichi.co.jp/sports/news/2012/04/16/kiji/K20120416003055550.html)(2024年3月5日に利用)
完走してもいいかどうかは契約次第
先導を終えたあとの行動について、ペースメーカーには2種類の契約があるそうです。
「そのままコースを走り続けていい」という契約と「走り続けるのを許可しない」という契約です。
「走り続けるのを許可しない」契約を結んでいる場合は、完走できないようですね。
- 先導を終えたペースメーカーは、依頼者との契約で許可されていればそのまま完走できる
- 先導を終えたペースメーカーは、ほかの選手を抜いて優勝しても問題ない
まとめ
- ペースメーカーは、選手が好タイムでゴールするためにペース管理や風よけの役割を担う存在
- 1980年代中ごろにはすでにペースメーカーの役割が存在した
- ペースメーカーの存在が公表されたのは2002年
- 日本で初めてペースメーカーの起用が公表されたのは2003年の福岡国際マラソン
- ペースメーカーには安定感のある走りができる人が選ばれる
- 選手に安心感を与える性格も、ペースメーカーの選出にかかわる場合がある
- ペースメーカーが何キロまで選手を先導するかは、依頼者の判断による場合が多い
- ゴール直前まで先導しても問題ない一方「レースの面白味が薄れる」などの意見もある
- 先導を終えたペースメーカーは、依頼者との契約で許可されていればそのまま完走できる
- 先導を終えたペースメーカーは、ほかの選手を抜いて優勝してもいい
いかがでしたか?
あなたの疑問は解消されたでしょうか。
どんな人が選ばれるのか気になっていましたが、性格も選出に影響するというのはちょっと面白い情報でした!