eスポーツはスポーツじゃない?ゲーム対戦がスポーツである理由

ゲームを使った対戦競技「eスポーツ」は、徐々に認知度を高めているようです。

名称に「スポーツ」を含むeスポーツ。
しかし、野球やサッカーなどと同じ「スポーツ」ととらえるのに抵抗を感じる人も多いとか。

ゲームは面白いですが、スポーツなのかと問われればたしかに答えに悩んでしまいますよね。

そこで今回は、eスポーツをスポーツじゃないと感じる理由について調査しました。
eスポーツとは、スポーツとは、いったい何なのでしょうか?

目次

eスポーツはスポーツじゃないと感じるのはなぜ?

「eスポーツはスポーツじゃない」と言う人たちは、どうしてそう思うんだろう?

eスポーツがスポーツじゃない理由。
特によく聞くのは、以下の2つです。

  1. ゲームは運動ではないから
  2. ゲームは遊びでするものだから

ここでいう「ゲーム」は、コンピューターゲームやビデオゲームを指します。

理由その1 ゲームは運動ではないから

日本人の多くは、スポーツと聞けば運動を伴う競技を思い浮かべます。
たとえば、野球、サッカー、テニス、マラソン。
すべて体を動かしますよね。

一方eスポーツは、たいていの場合競技中にゲーミングチェアから大きく動くことはありません。
スポーツを「走る・投げるなどの運動を伴うもの」ととらえている人は、椅子から動かないeスポーツをスポーツと呼ぶのに違和感を覚えるでしょう。

理由その2 ゲームは遊びでするものだから

ゲームは多くの人にとって余暇におこなう娯楽です。
それに対してスポーツには、「体育の授業や部活動でおこなうもの」というイメージはないでしょうか?

言うまでもなく授業や部活動は娯楽の時間ではありません。
私たちは体育の時間にバレーボールで遊んでいたわけではなく、部活に遊びに行っていたわけではありません。

娯楽のイメージの強いゲームをスポーツと呼ぶのがぴんとこない人もいるでしょう。

まとめ
  • スポーツを運動を伴う競技ととらえている人は、あまり体を動かさないeスポーツをスポーツじゃないと感じることがあります。
  • スポーツに体育の授業や部活動のイメージを持つ人は、娯楽のイメージが強いeスポーツをスポーツじゃないと感じることがあります。

体を動かさないとスポーツとは呼べないの?

スポーツに必ずしも運動は必須ではないという考え方もあるようです。

そうなんですか!
「スポーツ=運動」だと思ってました。

「スポーツ」のとらえ方は1つではない

「スポーツ」という言葉のとらえ方は1つではなく、

  1. 運動を必須とするもの
  2. 運動を必須としないもの

そのどちらも存在するといいます。

運動を必須とする考え方

まずスポーツを辞書で引いてみると、次のような記述があります。
スポーツは「身体運動の総称」と解説されていますね。

楽しみを求めたり、勝敗を競ったりする目的で行われる身体運動の総称

引用元:「デジタル大辞泉」(小学館)
監修 松村明氏
編集委員 池上秋彦氏・金田弘氏・杉崎一雄氏・鈴木丹士郎氏・中嶋尚氏・林巨樹氏・飛田良文氏
編集協力 田中牧郎氏・曽根脩氏
(2024年1月29日に利用)

平成23年に施行されたスポーツ基本法の前文では、スポーツを「運動競技その他の身体活動」としています。

スポーツは、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵(かん)養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動

引用元:「スポーツ基本法(平成23年法律第78号)(条文)」(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/kihonhou/attach/1307658.htm
(2024年1月29日に利用)

運動を必須としない考え方

欧米には、スポーツをもっと広い意味でとらえる考え方があるそうです。
「マインドスポーツ」がその代表で、チェスや囲碁を頭脳を使うスポーツととらえるのだとか。

身体活動以外に、スポーツの本質とされるのが遊戯性・競争性です。
チェスや囲碁はたしかに遊戯性・競争性を持っています。

マインドスポーツという概念が認められるとすれば、「体を動かしていないからスポーツじゃない」とは言い切れないようです。

まとめ
  • スポーツという言葉のとらえ方は1つではなく、欧米には「スポーツは運動が必須ではない」とする考え方が存在します。

eスポーツは、娯楽でゲームをするのと何が違うの?

eスポーツを競技として楽しむには、やはり勝つための鍛錬が必要です。
余暇にリラックスして楽しむゲームとは、その点に違いがあるといえます。

厳しい鍛錬を積むeスポーツ選手

遊びの延長のように思われがちなeスポーツですが、高いレベルの大会で勝利を目指すには日々の鍛錬が欠かせません。

ゲームの練習はもちろん、戦略の研究にも時間を使うとか。
1日のうち10時間以上を練習と戦略研究にあてているチームもあるそうです。

体の負担が大きい

ゲーミングチェアに座って体を大きく動かす必要がない点も、楽をしているように思われがち。
しかし、ゲームを長時間真剣にプレイすると体に大きな負担がかかるそうです。
首や腰の痛み、目の疲れなどに悩まされる選手も。

より疲れるのが脳です。
アクションゲームにしろパズルゲームにしろ、eスポーツの試合は瞬時に情報を処理して次の一手を選択する繰り返し。

常に頭をフル回転させている状態で、リラックスとはほど遠いようです。

プレイする楽しさを忘れない

娯楽との違いを説明するためにeスポーツの厳しい一面を紹介しましたが、もちろんつらく苦しいだけでは魅力ある競技にはなりえません。

スポーツの本質の1つとされる遊戯性が、eスポーツにも含まれます。
練習は大変でもプレイする楽しさがある点は、野球やサッカーもきっと同じだと思います。

まとめ
  • eスポーツを楽しむために選手は厳しい鍛錬を積み、体の負担とも戦っています。

eスポーツがスポーツである理由とは?

eスポーツは遊戯性と競技性を兼ね備えている点でスポーツに近いとする考え方があるようです。

遊戯性と競技性を兼ね備えるeスポーツ

eスポーツをスポーツじゃないと感じるおもな理由は次の2点でした。

  1. ゲームは運動ではないから
  2. ゲームは遊びでするものだから

そしてその理由に対してわかったのが次の点です。

  1. スポーツに運動を必須としないという考え方もある
  2. 遊びでするゲームと異なり、eスポーツ選手は厳しい鍛錬を積んでいる

では逆に、eスポーツがスポーツである理由はあるのでしょうか?

「eスポーツ」の名称の由来

ゲーム対戦の名称に「スポーツ」が使われたのは、遊戯性と競技性を兼ね備えている点がスポーツに似ていたからとする説があるそうです。

身体活動以外にスポーツの本質とされる遊戯性と競争性。
たしかにゲーム対戦はプレイする人も観戦する人も楽しく、優劣を争う競争性も持ち合わせています。

eスポーツ発祥の地といわれる韓国のeスポーツ協会に取材した「GLOBE+」(朝日新聞社)の記事によれば、ゲーム対戦の遊戯性と競技性を兼ね備えている点がスポーツに似ていることから「eスポーツ」の名称が生まれたといいます。

出典:「GLOBE+」(朝日新聞社)
https://globe.asahi.com/article/14340402
(2021年5月3日公開)
(2024年1月30日に利用)

オリンピックにeスポーツ「時期尚早」

一方でeスポーツは、スポーツの祭典と呼ばれるオリンピック競技に「時期尚早」として採用されませんでした。
eスポーツをオリンピックでおこなうスポーツの競技と認めるかどうかは、まだ議論が必要のようです。

ただ、オリンピック委員会はeスポーツに否定的なわけではありません。
2023年にはeスポーツの国際イベント「オリンピックeスポーツウィーク2023」を開催。
eスポーツが若者とスポーツの懸け橋になることが期待されています。

まとめ
  • eスポーツは、遊戯性と競技性を兼ね備えている点でスポーツに近いとする考え方があります。
  • 一方で、eスポーツをオリンピックでおこなうスポーツの競技と認めるかどうかは、まだ議論が必要とされています。

まとめ

  • スポーツを運動を伴う競技ととらえている人は、あまり体を動かさないeスポーツをスポーツじゃないと感じることがある
  • スポーツに体育の授業や部活動のイメージを持つ人は、娯楽のイメージが強いeスポーツをスポーツじゃないと感じることがある
  • スポーツという言葉のとらえ方は1つではなく、欧米にはスポーツに運動を必須としない考え方が存在する
  • 遊びでするゲームと異なり、eスポーツ選手は厳しい鍛錬を積み体の負担とも戦っている
  • eスポーツは、遊戯性と競技性を兼ね備えている点でスポーツに近いとする考え方がある
  • eスポーツをオリンピックでおこなうスポーツの競技と認めるかどうかは、まだ議論が必要とされている

eスポーツの試合中継をテレビで観戦しますが、野球やサッカーの試合と同じようにドキドキハラハラしています。
スポーツといえば運動というイメージはたしかにありますが、eスポーツが日本でももっと盛り上がるように議論が進めばいいですよね。

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