1月1日〜4月1日の間に生まれた人を「早生まれ」。
4月2日〜12月31日の間に生まれた人を「遅生まれ」と呼ぶことがあります。
早生まれの子どもは、遅生まれの子どもにくらべてメリットが少ないといわれます。
「損しかない」なんて聞くと、ご両親は心配になってしまいますよね。
そこで、早生まれにメリットがないといわれる理由と、周囲の大人にできるサポートについてまとめました。
周囲のサポートがあれば、早生まれの子どもだってのびのび成長することができるはずです。
メリットない? 早生まれが不利な理由とは?
早生まれの子どもが損だとか不利だとかいわれるのはなぜ?
具体的に何が損なの?
早生まれの子どもが損だとされるのには、次のような理由があります。
- 遅生まれの同級生にくらべて体格が小さかったり、発達段階に差があったりするケースが多いから
- 同級生より「できない」場面に多く遭遇することで苦手意識が芽生え、自信がつきにくくなるから
遅生まれの同級生にくらべて、発達段階に差がある
1年近い月齢差
生後1か月の赤ちゃんと6か月の赤ちゃんでは、体の発育もできることもまったく違います。
大人になると誕生月の違いなんてあまり気にならなくなりますが、幼いうちはそうはいかないんですよね。
それなのに、早生まれの子どもは、自分より最大で1年近く月齢の高い子どもたちと同時に集団生活がスタートとなるのです。
同級生とくらべて、できないことが多い
もちろん個人差はありますが、やはり月齢に差がある分、早生まれの子どもは遅生まれの子どもより「できない」に直面することが多くなるといいます。
たとえば体格の違いは、運動面に影響する可能性があります。
早生まれの子どもには、同級生にかけっこやドッジボールでかなわないという経験が多くなるかもしれません。
読み書きや道具の使い方なども、遅生まれの子どもたちのほうが早く上手になるかもしれません。
発達段階が違うだけなのに同級生に勝てない場面が増えるのは、確かに損をしている気分になりますよね。
苦手意識が芽生え、自信がつきにくくなる
周囲にくらべて上手にできない場面に何度も直面すると、子どもには苦手意識が芽生えます。
たとえば大人になっても運動に苦手意識がある人には、子どものころに自分だけ逆上がりができなかったり、運動会のリレーで順位を落としたりした経験があるのではないでしょうか。
芽生えた苦手意識は、子どもから自信を奪います。
周囲とくらべて「自分は劣っている」と思い込んでしまうのです。
自信をつけた遅生まれの子どもがいきいきと次のステップに進むのに対して、自信をつけられなかった早生まれの子どもはそこで足を止めてしまうかもしれません。
上手になるチャンスも、好きになるチャンスも、失ってしまいます。
周囲と発達段階に差がなければこの苦手意識は芽生えなかったとしたら、やはり早生まれは不利といえるかもしれません。
- 早生まれの子どもは遅生まれの子どもと発達段階が異なるため、同級生とくらべてできないことが増える可能性があります。
- 同級生より「できない」場面に直面することで苦手意識が芽生え、自信をつけられなかった早生まれの子どもは、次のステップに進むのを諦めてしまう可能性があります。
男の子の早生まれは特に損?
親戚の男の子が早生まれで、パパがとても残念がっているそうなんです。
男の子の早生まれはどうして損だといわれるんでしょう?
早生まれの男の子が特に心配されているとしたら、スポーツ選手に早生まれが少ないのが理由の1つかもしれません。
「男の子が生まれたらスポーツ選手に」
「生まれてくる子が男の子だったら、何かスポーツをやらせたい」
「一緒に甲子園を目指したい」
スポーツが好きなお父さんやお母さんの中には、そんな夢を思い描いている人が案外多いのかもしれません。
前述のように、早生まれの子どもは同学年の子どもたちにくらべて体格が小さかったり、できることが少なかったりする場合があります。
そのため特にスポーツにおいては不利なことも多く、小さいうちはなかなか思うように結果が出ないかもしれません。
また、そのせいで苦手意識を持ってしまえば、スポーツそのものを嫌いになってしまう恐れもあります。
スポーツ選手には早生まれが少ない
プロ野球選手にもサッカー選手にも、早生まれの選手は少ないという調査結果があるようです。
やはり、幼いころの体格差や発達段階の違いの影響は大きいのかもしれません。
出典:「産経ニュース」2017年8月14日更新
著 神田啓晴氏
https://www.sankei.com/article/20170814-XKVLPCBW65MJNBKCXOBBIMPRGA/
(2023年11月7日に利用)
子どもをスポーツ選手にしたいと考えるほどスポーツが好きな人なら、早生まれの選手が少ないことも知っているでしょう。
スポーツの世界で大成するのが難しいという意味で、早生まれの男の子は損だと心配されるのかもしれません。
- 早生まれの子どもは運動面で不利なことが多く、早生まれのプロ野球・サッカー選手が少ないという調査結果もあります。
早生まれが不利なのは何歳まで?
とはいえ、大人になれば早生まれも遅生まれもそんなに差はないと思うんだけど…。
実は、早生まれは大人になっても不利が続くという研究結果があるようです。
進学率や所得に差?
成長するにつれて気にならなくなると思っていた早生まれの不利。
ところが、早生まれの不利は大人になるまで続くことを示す次のような調査結果があるといいます。
- 入学した高校の偏差値が低い
- 大学進学率が低い
- 30代前半の所得が低い
出典:「早生まれは大人になっても不利!?(東大院教授の研究):では、どのように支援するか」(2020年8月18日更新)
著 碓井真史氏
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/fde0e59a698f2b068020df82e57725f3799b2d8b
(2023年11月7日に利用)
もちろん早生まれの人みんなに当てはまるわけではないですが、どちらかというとそういう傾向があるそうです。
大人になるまで不利が続く理由
さまざまな経験を通じて身につける力
人はさまざまな経験を通じて学力や運動能力以外の力を身につけます。
たとえば「最後までやり遂げる力」。
たとえば「自分の感情をコントロールする力」。
数値では評価できないこれらの能力は、人生において重要な意味を持つようです。
早生まれは経験不足になりやすい?
ところが、早生まれの人には、それらの能力を身につけるための経験が足りない場合があるといいます。
経験不足に陥る理由には、
- 自信がなく、積極的になれないから
- 不利を補うため、勉強に時間を割いたから
などが考えられます。
自信がなく、積極的になれない
同級生より「できない」場面に直面し続けた早生まれの子どもは、自分に自信を持てないまま成長するケースがあります。
自分に自信がないと、何事にも積極的になれませんよね。
その結果、多くの経験の機会を失ってしまう可能性があるのだとか。
不利を補うため、勉強に時間を割いた
遅生まれの同級生とくらべて劣ってしまう学力を補うために、塾や家庭教師を利用して勉強に力を入れる家庭もあるとか。
その結果、勉強以外の経験が不足してしまう子どももいるといいます。
不利を補おうと勉強に力を入れたことが経験不足を引き起こすなんてショックですよね…。
- 大学進学率や所得に差があるなど、早生まれの不利が大人になるまで続くことを示す調査結果があるようです。
- 早生まれの人は、学力や運動能力以外の力を身につけるために必要な経験が不足している場合があるようです。
早生まれの子どもに対して、周囲の大人がしてあげられることは?
なんだか本当に早生まれは損しかないみたい。
早生まれの子どものために、大人ができることはないの?
子どもが自分に自信を持つことができれば、成長するにつれて早生まれはデメリットではなくなるはずです。
そのために、周囲の大人には
- 子どもの可能性を否定しない
- 子どもが自信をつけられる環境を整えてあげる
などのサポートができるのではないでしょうか。
子どもの可能性を否定しない
早生まれのスーパースター
身近な大人が子どもの可能性を否定しなかったことが、成功につながったアスリートもいます。
サッカー界の”キングカズ”こと三浦知良選手は2月26日生まれ。
早生まれの子どもでした。
体が大きいわけでもなく、プロの世界や日本代表で活躍する選手になると思っていた人は少なかったそうです。
それでも三浦知良選手は15歳で単身ブラジルへ渡り、スーパースターへの道を切り開きました。
もし三浦選手の身近にいる大人たちが「サッカー選手になるのは無理だ」と諭して彼の自分を信じる心を折ってしまっていたら。
ブラジルに留学することもなく”キングカズ”と呼ばれるスター選手は誕生しなかったかもしれません。
おおらかな心で声かけを
早生まれの子どもを持つ知人は、同級生にくらべてできないことがあっても「早生まれだから仕方ない」とおおらかに考えているといいます。
今はみんなよりできないだけ、これからできるようになるから大丈夫。
たとえ現時点で体格や能力が劣っていても何も問題ないという声かけは、子どもを安心させるように思えました。
子どもが自信を失わないように、自分自身を諦めてしまわないように、子どもの可能性を否定しない言葉をかけ続けてあげたいですね。
子どもが自信をつけられる環境を整えてあげる
「早生まれセレクション」
元サッカー日本代表の内田篤人さんは3月27日生まれ、やはり早生まれの子どもです。
ただ、内田選手は早生まれだったからこそプロになれたといいます。
それは、「早生まれセレクション」に参加できたから。
「早生まれセレクション」とは、学年の中で埋もれがちな早生まれの選手を対象とした選考会だったそうです。
この選考会で関係者の目に留まったことが、内田選手の飛躍につながったとか。
選考会が企画されたこと、参加を促してくれた指導者がいたことが、内田選手のサッカー人生の転機になりました。
大人たちが、早生まれの子どもが活躍できる環境を用意してくれた例ですね。
子どもに自信を失わせない環境を選択
早生まれの子どもが自信をつけやすい環境を選んであげることは、私たち親にもできるかもしれません。
たとえば、少人数保育や縦割り保育。
学年ではなく、ひとりひとりの発達段階に応じたコースが設けられている習い事。
集団の中で埋もれたり、自信を失ったりするのを回避して、のびのびと成長できる環境を整えてあげられたらいいですね。
- 子どもの可能性を否定しない声かけを意識することは、早生まれの子どもが自信を持って行動するためのサポートにつながります。
- 早生まれの子どもがのびのびと成長できるように、自信をつけやすい環境を整えてあげるのもサポートの1つです。
まとめ
- 早生まれの子どもは遅生まれの子どもと発達段階が異なるため、同級生とくらべてできないことが増える可能性がある
- 同級生より「できない」場面に直面することで自信をつけられなかった早生まれの子どもは、次のステップに進むのを諦めてしまう可能性がある
- 早生まれの子どもは運動面で不利なことが多く、早生まれのプロ野球・サッカー選手が少ないという調査結果がある
- 早生まれの不利が大人になるまで続くことを示す調査結果がある
- 早生まれの子どもは、学力や運動能力以外の力を身につけるために必要な経験が不足している場合がある
- 子どもの可能性を否定しない声かけを意識することは、早生まれの子どもが自信を持って行動するためのサポートにつながる
- 早生まれの子どもがのびのびと成長できるように、自信をつけやすい環境を整えてあげるのもサポートの1つである
誰より身近な大人たちが、子どもの可能性を信じてあげたいですよね。
早生まれの子どもが自信を持っていろんなことに挑戦できるように、背中を支えてあげられるといいですね!