先日、全国高校サッカー選手権決勝で青森山田高校が見事優勝を果たしました。
青森山田の得意とする攻撃パターンといえば、高校サッカーに増えているロングスローからの得点です。
一方、プロの試合でロングスローを使うチームは少ない気がしませんか?
高校生は優勝校も使っている戦略なのに不思議ですよね。
そこで、プロの試合でロングスローが少ない理由を調べてみました。
ロングスローがプロの試合で少ない理由は?
プロの試合でロングスローが少ないのは、得点をとるのにあまり有効なプレーではないからです。
高校サッカーの優勝チームも使っているのに、プロだとあまり効果的じゃないんですか?
少なくともこれまではそう考えられていたようです。
その理由を説明していきましょう。
- 守備のレベルが高いとロングスローからの得点は難しいから
- プロの守備を突破できる条件をそろえるのが難しいから
守備のレベルが高いとロングスローからの得点は難しい
プロの試合でロングスローが有効な手段とされない大きな理由は、守備力の高さです。
プロは高校生にくらべて個人の技術が高いのはもちろん、ディフェンス陣の連携も洗練されています。
守備が未熟なら誘えるミスやバタつきは、プロ相手には期待できません。
また、ロングスローのボールはどうしてもスピードが落ちて山なりになります。
レベルの高い守備陣の前では、スピードの遅いロングスローは味方に届く前に対応されてしまいます。
プロの守備を突破できる条件をそろえるのが難しい
いくつかの条件を満たすことができれば、プロの試合でもロングスローは有効な手段になります。
しかし、その条件を満たすのは簡単ではないようです。
プロの守備を相手に通用するロングスロー
1つ目に必要な条件は、レベルの高い守備を相手に通用するボールが出せることです。
山なりの遅いボールでは対処されてしまいます。
より長いボールを、より速く高く投げなければなりません。
速くて長い弾丸のようなロングスローなら、プロの守備を相手にも通用する確率が高くなります。
ただ、そんなロングスローの使い手はなかなかいません。
ボールの受け手となる高身長の選手
2つ目の条件は、ボールの受け手となる選手がそろっていることです。
ボールを奪われてしまえば得点にならないだけでなく、一転してカウンターのピンチに陥ってしまいます。
そのため空中のボール争いに競り勝てる高身長の選手、1人では簡単に対応されてしまうので複数の高身長の選手をそろえる必要があります。
来シーズンのJ1リーグに注目
以上のような理由から、これまでロングスローは高いレベルの試合ではあまり有効ではないとされてきました。
しかし、2023年のJ2リーグはロングスローを使うチームが優勝しています。
J1リーグでもロングスローを使う戦術が通用するのかどうか、注目が集まっています。
- プロの試合でロングスローが少ない理由は、レベルの高い守備の前ではあまり有効なプレーではないからです。
- また、レベルの高い守備を相手に通用するロングスローの出し手や受け手がそろっているチームが少ないのも理由の1つです。
ロングスローが多い試合はつまらない?
ロングスローを多用する試合をつまらないと感じる人がいるのは事実です。
どうしてロングスローが多いとつまらないんだろう?
よく目にする理由は2つです。
- 時間がかかる
- 試合が単調になる
ロングスローがつまらない理由
時間がかかる
ロングスローは普通のスローインより準備に時間がかかるケースが多いです。
ロングスロー担当の選手が離れた場所から移動してきたり、ボールを拭いたりする場合もあるからです。
試合を観戦している人からすれば、スピーディーに試合が続くほうが緊迫感があって面白いですよね。
また、ロングスローの回数が多ければ多いほど当然準備のために消費される時間も増えます。
その結果、プレー時間が短くなってしまう側面もあるといいます。
ワクワクするプレーを多く見たいと期待しているファンには、ロングスローのために使われる時間がもどかしく感じられるかもしれません。
試合が単調になる
ロングスローからの展開は似たようなものになりがちです。
得点につながりやすいからとロングスローばかり使えば、似たような展開の繰り返しで試合は単調になります。
同じような場面の続く試合は、見ていて面白いものではないかもしれません。
想像力あふれるプレーや戦術を期待しているファンにとってはなおさらでしょう。
面白いと感じる人もいる
一方で、ロングスローからの展開を迫力があって面白いと感じる人もいます。
得点が入らない試合よりは、ロングスローで得点が入ったほうが面白いという人もいます。
感じ方は人によって違うので、ロングスローを使う試合が誰にとってもつまらないわけではありません。
- 投げるのに時間がかかったり、試合が単調になったりするため、ロングスローが多い試合をつまらないと感じる人もいます。
- 一方で、ロングスローが多い試合を面白いと感じる人もいます。
ロングスロー多用は選手のためにならないって本当?
ロングスローを多用するのは、高校生をはじめ若い選手たちのためにならないと考える人もいます。
どうして選手のためにならないの?
- ロングスローは目先の勝利のためには有効でも、将来につながるプレーではない
- 短絡的な戦術の多用は、若い選手が想像力や技術を磨くチャンスを奪う
などの理由が考えられます。
将来につながるプレーではない
ロングスローが通用するのは、相手の守備力が未熟なうちだけ。
高校サッカーでは有効なプレーでも、プロなど上のレベルの試合では通用しないとされてきました。
そのため、目先の勝利のためにロングスローを練習させたり試合で使わせたりしても、将来役に立つことはないという人もいます。
ロングスローを練習した時間は、無駄になってしまうのでしょうか。
想像力や技術を磨くチャンスを奪う
高校サッカーでは有効とされるロングスローですが、短絡的な戦術と批判されることがあります。
長いボールをゴール前に一気に運べるのは効率的ですが、選手が考えを巡らせる必要が少ないからです。
ゴール前までどうやってボールを運ぶか、いかに相手の守備を崩すか。
想像力や技術を駆使したプレーはサッカーの醍醐味です。
ロングスローを使う戦術の練習に時間を割いているうちに、子供たちは想像力や技術を磨くチャンスを失っているのではないかと心配する声もあります。
ロングスローは選手のためにならない?
ロングスローの多用は選手のためにならないという考え方もありますが、それがすべてと言い切るのも難しいところです。
目の前の勝利がすべてという選手もいる
プロではあまり使われないロングスローの練習は、選手の将来につながらないかもしれません。
しかし、誰もがプロを目指しているわけではありませんよね。
目の前の勝利にすべてをかけている選手もいるはず。
そのために有効な手段なら、ロングスローが選手のためにならないとはいえません。
レベルアップする選手が出てくるかも?
今はまだ、プロでは通用しないとされるロングスロー。
しかし、プロでも通用する弾丸のようなボールを出せるように、ロングスローの技術を磨く選手が出てくるかもしれません。
ロングスローに対応できるように空中戦の守備を磨いて、大きくレベルアップするディフェンスの選手が出てくる可能性だってあります。
飛躍のきっかけは誰にもわかりません。
- 将来につながるプレーではないロングスローの多用は、若い選手のためにならないと考える人もいます。
- ロングスローの多用は、選手の想像力や技術を磨くチャンスを奪っているという考え方もあります。
まとめ
- プロの試合でロングスローが少ない理由は、レベルの高い守備の前ではあまり有効なプレーではないから
- レベルの高い守備を相手に通用するロングスローの出し手・受け手をそろえるのが難しいという理由もある
- ロングスローが多い試合をつまらないと感じるのは、投げるのに時間がかかったり、試合が単調になったりするため
- ロングスローが多い試合でも面白いと感じる人もいる
- 将来につながるプレーではないロングスローの多用は、若い選手のためにならないと考える人もいる
- ロングスローの多用は、選手の想像力や技術を磨くチャンスを奪っているという考え方もある
勝利のためにロングスローを多用するのが正しいのかどうか、いろいろな考え方があるでしょうね。
Jリーグでは、ロングスローを使うチームがJ1に昇格しています。
トップレベルの試合でロングスローが通用するのかどうか、次のシーズンが非常に気になります!