「ステマ」という言葉を見かけるけど、ステマって結局どういう意味なんだろう。
法律で取り締まられるようになったくらいだから悪いことなのは分かるけど、何が悪いのかよく分からない。インフルエンサーが商品を紹介する「案件」とは何が違うんだろう。
本記事ではこういった「ステマ」の疑問についてまとめています。
この記事でわかること
- ステマとはなにか
- ステマの何が悪いのか
- ステマをするとどうなるのか
- ステマと案件の違い
ステマとは何か?
ステマとは、「ステルスマーケティング」の略語です。
長いので一般的には「ステマ」と呼ばれています。
ステマとは、広告であるにもかかわらず、広告であることを隠して商品を宣伝する行為のことをいいます。
このことは消費者にとってどういう影響を及ぼすのでしょうか?
例えば
眼鏡からコンタクトに変えたいけど、種類がたくさんあるからどれを選んだらいいのか分からない
という消費者がいる場合、まず消費者は身近でコンタクトを使用している人や眼科の先生にオススメを聞くなどの対策が取られると思いますが、それだけでは情報が足りなかった場合「ネットのクチコミ」を参考にすることが考えられます。
ステマとは、広告であることを隠して商品の宣伝をすることです。
当然、ステマには宣伝する商品にとってのデメリットは書かれない場合が多く、消費者がステマのクチコミを参考にした場合、自分に合わないコンタクトを購入してしまうことになるかもしれません。
このように、ステマで宣伝したクチコミを消費者が第三者の意見であると鵜呑みにしてしまうことによって、本当に自分に合う商品を選ぶことができなくなってしまいます。
こういった観点からステマを行うことは景品表示法違反の対象となりました。
景品表示法とは
商品やサービスの品質、内容・価格等を偽って表示をすることを厳しく規制する法律。
消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選ぶことができる環境を守るために制定された。
ステマも2023年10月1日から景品表示法で取り締まることになりました。
ステマには主に2種類のタイプがあります。
なりすまし型
商品を取り扱っている「企業側」の人間が消費者になりすまして自社の製品のレビューを良く書くこと、これがなりすまし型と呼ばれるタイプです。
自社の製品を宣伝するためのレビューですから、当然良い内容のレビューを書くことが考えられます。良いレビューが何個も付いていたら、レビューが無い商品よりも説得力が増し、消費者の購買意欲が増しますよね。
利益提供秘匿型(りえきていきょうひとくがた)
利益提供秘匿型は企業側の人間が影響力を持つ「インフルエンサー」等に金銭などを提供してクチコミなどを書いてもらいながらも、広告であるということを隠して商品を宣伝することです。
たとえば、自分の好きなインフルエンサーの方が「私も使っていてすごくオススメです!」という言葉と共に商品が紹介されていたらすごく気になりませんか?この人も使っているなら私も買ってみようと、購買意欲が増すと思います。
ですが、「これは商品の宣伝なんですけど」という言葉が追加されたらどうでしょうか。本人が使ってみた感想ではあるんだろうけど、企業にお願いされてこの商品の紹介をしてるのね。と、消費者はいったん冷静になって商品のことを考えることができます。
なので、広告であるということをしっかり明言しておくことは消費者にとってはとても大切なことなのです。
競合他社の商品に悪い評価を付けるのもステマ
頼まれた企業の商品やサービスに良い評価をつけること以外にも、企業から金銭などの報酬を受け取って競合他社の商品やサービスに悪い評価を付けることやレビューを書くこともステマに該当します。
ステマ規制で罰せられるのは誰?
ステマ規制は景品表示法に基づくものであり、規制対象は「広告主」です。
商品を紹介したインフルエンサーなどの投稿者側は現時点の法律では処分されません。
広告主が違反行為をおこなったと確認された場合、消費者庁は広告主に再発防止の措置命令を出し、企業名も公表されます。
それでも措置命令に従わなかった場合、広告主に2年以下の懲役または300万円以下の罰金などの罰則が科されます。
ステマの何が悪いの?
しかし、ステマって法律で取り締まるようなことなのでしょうか?
ステマが悪いとされている理由は、ステマが「消費者を欺く行為」と認識されているからです。
先ほども書きましたが、ステマによって消費者はその商品のことを正しく理解することができなくなります。広告であると分かっていれば企業が商品のことを実際よりも誇張して紹介しているんだなと理解することができますが、そうでないクチコミは実際に使った消費者の「生の声」であると錯覚するためです。
このことは、景品表示法の「消費者がより良い商品やサービスを自主的かつ合理的に選ぶことができる環境」を妨げることになるため、ステマも規制対象になりました。
ステマと案件の違い
ステマと案件って、ほとんど同じように感じられるのですが、ステマと案件は何が違うのですか?
ステマと案件の大きな違いは、「レビュー・クチコミに広告であるかどうかを明言しているか、していないか」です。
テレビのコマーシャルなどで女優さんが化粧水の宣伝をしていてもコマーシャルは宣伝であることが明らかにされているので、これはステマにはなりません。
広告であると明らかにする単語として「広告」「PR」「提供」「宣伝」「コマーシャル」「告知」などが挙げられます。
インフルエンサー側がしっかり広告であることを明言しなければ規制対象になるのは依頼した広告主です。お互いが気持ちの良い取引をするためにもこういった点は今後特に気をつけていかなければなりません。
ステマのクチコミなのかを見分ける方法はある?
ステマが規制される法律ができたからといっても、ステマはまだまだ曖昧なものも多く、完全に取り締まるのはたいへん難しい状況です。こういった場合、自分自身の目で「これはステマかもしれない」と、疑いの目を向けて商品のクチコミを見ることが大切です。ステマかもしれないと疑わしいものは以下のような点に注意しましょう。
レビューしている商品を著しく高評価している場合
商品を異常に持ち上げて書いているレビューを見かけた場合は、その投稿者のアカウントをチェックしてみましょう。
ステマに使用されるアカウントは作成されてから時間が経っていない場合が多く、他に口コミを投稿していないことがあります。
情報の具体性に欠けている
ステマであるクチコミの場合、実際にその商品を使用したことのある消費者では無いため、商品についての情報が不明瞭であることがあります。
本当にその商品を使用したことのある人しかわかり得ない情報がしっかり記載されているかも見極めるポイントの1つです。
口コミを比較する
1人の口コミだけを参考にすることはなるべく避け、まんべんなく口コミを確認してみましょう。
周りの消費者が微妙な評価を付けているにも関わらず、異常に良いことだけを書いている口コミはステマである可能性があります。
まとめ
- ステマとは「ステルスマーケティング」のこと
- 広告であるにもかかわらず、広告であることを隠して商品を宣伝する行為
- ステマは2023年10月1日から景品表示法によって規制されることになった
- ステマの規制対象になるのはステマを依頼した「広告主」
- 商品を紹介した「インフルエンサー」等が取り締まられる法律は今のところ無い
- ステマと案件の違いは「レビュー・口コミに広告であるかどうかを明言しているか、していないか」
- 広告であることを明らかにする単語として「広告」「PR」「提供」「宣伝」などが挙げられる
- ステマか口コミなのかを見分ける方法の1つとして、レビューしている商品を著しく高評価している場合の口コミや、情報の具体性に欠けている口コミは鵜呑みにしないということが大切
今回はステマ(ステルスマーケティング)についてまとめました。
ステマを取り締まる法律が制定されることによって1件でも多くのステマが無くなってくれればいいですよね。
消費者である私たちは、口コミの全てを鵜呑みにせず、自分自身で1度購入を検討している商品としっかり向き合うこともいいかもしれません。