プラスチック削減のためにレジ袋が有料化され、マイバックを持ち歩くことも当たり前になってきました。
さらにマクドナルドやスターバックスなどに使われている紙ストローに変更されるなど、沢山の企業がプラスチック製品から紙製品に変更しています。
プラスチックが減ることは良いことですが、紙は本当にエコなのでしょうか。
プラスチックと紙のどちらがエコか調べてみました。
紙とプラスチックどっちがエコなの?
原料、製造過程、廃棄についてプラスチックと紙を比べてみました。
- 原料
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プラスチックの原料は「石油」です。この石油が何で出来ているかご存知ですか?
実は大昔の生物(プランクトン)などの死骸なんです。
地層の中にある大昔の生物の死骸が石油になるには果てしない時間が必要です。
今採れている石油は2億5000万円から6500万円のプランクトンの死骸が変化したものと言われています。参考:資源循環学習
これだけ時間がかかるものを沢山使ってしまったら、いずれ枯れてしまうと言われるのも納得ですね。一方紙の資源は「木」です。しかし毎回紙を作るために新しい木を切るわけではありません。
日本製紙連合会によると国内で使われている紙の原料は64%が古紙、その他36%が木材です。
引用:日本製紙連合会古紙の方が2倍近く使われているんですね。
さらに森は計画的に間伐する必要があり、間伐された木も紙の材料に使われています。また木は育てることができるため再生可能な資源でもあります。
原料に関してはいずれ枯れてしまう原料を使う「プラスチック」よりは再生可能な原料を使う「紙」の方がエコに感じます。しかし再生するにも場所が必要です。植林地を増やすために元々ある森を壊してしまったり、そこに暮らす人たちと争いになってしまう問題なども起きている場所もあるようです。
- 製造過程
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「プラスチック」の原料は石油ですが、石油の全てが使われるわけではありません。
まず石油精製工場で石油をガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、アスファルトに分けます。
プラスチックはその内のナフサを使って作られます。
そのため石油のガソリンや灯油に使えない部分を利用しているなら良いのでは?という声も。しかし日本は石油を精製した時にできたナフサでは追いつかず、海外から輸入をしています。
2020年には日本で石油を精製した時に出来るナフサの約2倍の量である2,637万KLをお金を払って輸入しています。参考:石油科学工業協会一方「紙」の製造過程で問題になっているのが大量の水とCO2です。
紙を1トン作るために50トンの水が使われています。参考:栗田工業株式会社1トン=1000Lのため、50トンは50,000Lです。2Lのペットボトル25,000本分にもなります。
さらにCO2の発生も見過ごせません。1tすなわち1,000kgの紙を作成するのに、上質紙ならば1,470kg、コート紙ならば1,620kg、コピー用紙ならば1,520kgの二酸化炭素が発生していることになります。なので紙の重さ以上の二酸化炭素が発生しているということになります。
引用:伸和印刷CO2の発生量は実は新たに木から作るより、再生紙を使ったほうが多くなってしまうようです。
温暖化による異常気象が目立っている今、CO2という言葉は気になってしまいますよね。 - 廃棄
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「プラスチック」は61%が焼却して熱エネルギーとして利用、17%が埋め立てや熱エネルギーとして使用しない焼却、16%がマテリアルリサイクル、6%がケミカルリサイクルになります。参考:環境リサイクル学習ホームページ
半分以上が熱エネルギーとなって発電などに使われているのですね。
マテリアルリサイクルとはプラスチックの原料に戻して、また新たにプラスチック製品が作れる状態にすることです。このリサイクルが行われている代表が私たちがよく分別して出しているペットボトルや白トレイ。白トレイに関してはリサイクル率100%!参考:環境省
これからもちゃんと分別したいですね。
一方「紙」で注目したいのは古紙の回収率の高さです。
2021年の日本の古紙回収率はなんと81.1%、世界からみてもとても高い数字です。さらに2000年からは回収された古紙の余った分を輸出もするようになりました。
その量は237万トン!私たちが分別して出したものが環境のためだけじゃなく、日本の資源にもなっているんですね。参考:古紙再生促進センター
しかし食品が付いてしまった紙や紙コップなど防水加工された紙はリサイクルできないため、紙ストローがリサイクルできるかは疑問です。
調べてみると紙にしとけばエコとは正直言えないような気がします。紙だって大量に使えばリサイクルが追いつかず、森林が少なくなるとともにCO2が増え、温暖化が進んでしまう危険だってあるはずです。
また破棄するシステムが思った以上にしっかりとしていて驚きました。面倒くさい分別もちゃんと活用されていることが分かり報われた気分です。
プラスチックから原油(石油)に戻せないの?
完全に戻すことはできないが、プラスチックから石油に近いものを作ることはできます。
ENEOSのホームページによると・・・
ENEOS株式会社(本社:東京都千代田区、社長:大田 勝幸、以下「ENEOS」)と三菱ケ ミカル株式会社(本社:東京都千代田区、社長:和賀 昌之、以下「MCC」)は、この度、MCC 茨城事業所においてプラスチック油化共同事業(以下「本共同事業」)を開始することを決定しまし たので、お知らせいたします。同事業所に、商業ベースでは国内最大規模となる年間2万トンの処理 能力を備えたケミカルリサイクル設備を建設し、2023年度に廃プラスチックの油化を開始するこ とを目指します。
引用:ENEOS
こちらで精製された油は新たにプラスチックや石油製品に生まれ変わります。
石油製品の詳しい内容はのっていませんでした。これは私の想像ですが石油製品にはガソリンや灯油なども含まれているため、ENEOSで廃プラスチックから作られたガソリンの販売などが今後あったら面白いですね。
2023年度はもうすぐなのでとても楽しみです。
他にもマイクロエンジニア株式会社では廃プラスチック製品を油化する装置を開発し販売をしています。
こちらの装置できる油はガソリン相当や灯油相当、軽油相当や重油相当が混ざっているそうです。(PP・PEを油化した場合)参考:マイクロエンジニア株式会社
本当に石油みたいで色々なことに活用できそうですね。この装置は日本では全国の約半数を占める21県、海外でもアメリカや中国、フランスやオーストラリアなど数々の国に導入されています。
実際に紙ストローを使った方の反応?
実際に紙ストローを使った方の感想をSNSで探してみたところ、あまり良い意見はみつかりませんでした。
紙ストロー、導入する過程での会議で「これはドリンクの味を損ないませんか?」って意見は出なかったのか??といつも思う
— ぴのこ (@sinsekai0219) October 4, 2022
何が悲しくてトイレットペーパーの芯で飲み物飲まなきゃいけないんだよってのが紙ストローに対する率直な感想です
— オルコンのフリッター (@F_F_hundoshi) October 4, 2022
あと飲み物をゆったり楽しむコンセプトの店で出すもんじゃない、絶対ふやけて飲めなくなるので
それやるくらいならストロー出さずに直接飲めるタイプのやつにしてほしい
一番多かったのは「トイレットペーパーの芯みたい」「味が変わる」という意見です。
確かに私も使ってみた時に紙の味を感じ、小さい頃折り紙を何となく口に入れてしまった時の記憶が蘇りました。私もどちらかというと苦手かもしれません。
そんな方にぜひおすすめしたいのがマイストロー。
シリコンタイプやステンレスタイプ、ガラスタイプや竹タイプなど様々あります。
見た目もシンプルなものやカラフルなど、思わず持ち歩きたいオシャレなものが沢山。
特にシリコンタイプは折りたたんで持ち運ぶことができたり、中身を開いて洗えるタイプもあるため初めて使う方にもおすすめです。
まとめ
いかがでしょうか。プラスチックで問題になったマイクロプラスチックの原因は海や街に不法投棄されたゴミやポイ捨てです。
プラスチックでも紙でもエコにするためには私達がゴミを正しいところに捨てて、しっかりと分別することが一番大切ではないかと思いました。