10代半ばから25歳以下のいわゆる「Z世代」の間で、「蛙化現象(読み方:かえるかげんしょう)」という言葉が流行しているとか。
この「蛙化現象」という言葉、みなさんはご存知でしたか?
初めて聞いたという人もいるのではないでしょうか。
若者の流行語がニュースになると、「知らない」「聞いたことがない」と大人たちが困惑することはよくありますよね。しかし、「蛙化現象」については、別の意味で困惑している人たちがいるといいます。
Z世代の間で流行している「蛙化現象」という言葉は、本来の意味とは使われ方が違うというのです。
いったいどういうことなのか、調べてみました!
- Z世代で流行している「蛙化現象」の使い方は誤用なのかどうか
- 「蛙化現象」の本来の意味
- 「蛙化現象」の語源
- 「蛙化現象」が起こったエピソードやシチュエーションの例
- 「蛙化現象」の原因と考えられているもの
- 「蛙化現象」の意味が変化する可能性と困惑する人の存在
Z世代の流行語「蛙化現象」は誤用って本当?
最近耳にするようになった「蛙化現象」という言葉。
実は本来の意味とは異なる使われ方が広まっているって本当?
本当です。
最近流行している「蛙化現象」という言葉は、実は本来の意味とは異なる使われ方をしているようです。
間違った使われ方、つまり誤用なのですが、Z世代の間では誤用の意味が定着しつつあるようですね。
「蛙化現象」の本来の意味
「蛙化現象」は、実は心理学用語の1つだそうです。
「好意を持っている相手から好意を寄せられた途端、相手に対して生理的嫌悪感を感じてしまうこと」を指す用語です。
片思いをしている間は本当に好きだったのに、両思いになった途端相手に対する気持ちが冷めてしまう…。
経験はありませんか?
女性に多いとか、自己肯定感の低い人に多いとか、さまざまな説があるようです。
病気ではないとされますが、人によっては深刻な悩みとなることも。
思い悩んで精神科や心療内科を訪れる人もいるそうです。
以上のように、「蛙化現象」は若者たちが生み出した造語ではなく、心理学のジャンルでもともと使われていた言葉なんですね。
Z世代が使う「蛙化現象」
では、Z世代が使う「蛙化現象」はどうでしょう。
Z世代が「蛙化現象」という言葉を使う場合、「好意を持っていた相手の仕草や言動をきっかけに、急に気持ちが冷めてしまう現象」を指しているようです。
交際を始める前の段階で起こることとされる場合もありますが、Z世代の間では片思いの相手から交際相手までその対象も広がっているようです。
本来の意味と異なる点
本来の意味と大きく異なるのは、相手から好意を寄せられたかどうかはもはや問題となっていない点です。
「蛙化現象」を取り上げた番組などでは、相手のどんな仕草や言動がきっかけで気持ちが冷めたかというエピソード紹介に時間が割かれます。
「好きな人に冷めたシチュエーションあるある」のようなもので、心理学の用語や深刻な悩みを持つ人もいる点が大きくあつかわれることはあまりないようです。
- Z世代の間で流行している「蛙化現象」という言葉の使われ方は、本来の意味とは異なっており誤用といえます。
- 「蛙化現象」は、本来「好意を持っている相手から好意を寄せられた途端、相手に対して生理的嫌悪感を感じてしまう事象」を指す心理学用語です。
- 一方、Z世代が使う「蛙化現象」は、「好意を持っていた相手の仕草や言動をきっかけに、急に気持ちが冷めてしまう現象」を指します。
「蛙化現象」の語源は?
そもそもどうして蛙なんだろう?
「蛙化現象」という言葉の語源は?
「蛙化現象」の語源は、『かえるの王さま』というグリム童話だそうです。
かえるが出てくるお話が語源になっているので、「蛙化現象」なんですね。
ただ、「蛙化現象」の本来の意味と童話のあらすじはちょっと違っているようです。
語源はグリム童話
「蛙化現象」という言葉の語源は、『かえるの王さま』というグリム童話だとされています。
『かえるの王さま』は、かえるとお姫様が登場するお話です。
お姫様はかえるのことを嫌がっていましたが、かえるの姿が美しい王子様に変わると話は急転。
2人は結婚することになります。
このあらすじ、「好意を持っている相手から好意を寄せられた途端、相手に対して生理的嫌悪感を感じてしまう事象」を指す「蛙化現象」とは、なんだか話が異なるような気がしますよね。
童話では、お姫様の相手に対する嫌悪感が好感に変わって結婚に至ります。
一方「蛙化現象」は、両思いや交際に至ることで、相手に対する気持ちが好感から嫌悪感に変化する現象を指します。
童話が語源になっているようですが、きっかけや感情の変化は反対になっているんですね。
語源となった童話 | 嫌悪感が好感に変化 → 結婚 |
本来の「蛙化現象」 | 交際 → 好感が嫌悪感に変化 |
- 「蛙化現象」の語源は、『かえるの王さま』というグリム童話だそうです。
「蛙化現象」のエピソードやシチュエーション例は? そこから考えられる原因は?
「蛙化現象」の具体的なエピソードや
「蛙化現象」が起こったシチュエーションの例を知りたい!
「蛙化現象」について、具体的な体験談を持っている人は多いようです。
本来の意味の「蛙化現象」を経験したエピソード。
誤用された「蛙化現象」が起こったシチュエーション。
具体的な経験談からは、「蛙化現象」の原因の一部だと考えられている以下の2つの側面が見えてくる気がします。
- 自己肯定感の低さ
- 若さや幼さゆえの理想の高さ
本来の意味の「蛙化現象」を経験したエピソード
「好意を持っている相手から好意を寄せられた途端、相手に対して生理的嫌悪感を感じてしまう事象」を指す本来の「蛙化現象」を経験したエピソードがこちらです。
- 片思いの相手と両思いに。でも「え? 私なんかに振り向いちゃうの?」と思ったら気持ちが冷めてしまった。
- 片思いの間は大好きだったのに、いざ付き合うようになると緊張と恥ずかしさが我慢できず、2人で会うのが苦痛になってしまった。
- それまではそんなことなかったのに、恋人になったら相手のことが気持ち悪くなって目を合わせるのもイヤ。
- ずっと好きだった人と両思いだと判明。うれしいはずなのに、両思いだとわかった直後に気持ちが冷めてしまった。
原因は自己肯定感の低さ?
理由もわからないのに、両思いになった途端に気持ちが冷めてしまう。
本人も戸惑うでしょうし、相手も傷つくことになりますよね。
どうしてこんな気持ちの変化が起こるのでしょう?
「蛙化現象」が起こる背景には、自己肯定感の低さが潜んでいるという説があるそうです。
「え? 私なんかに振り向いちゃうの?」という感情は、そこに由来するのかもしれませんね。
自分に価値を感じられないせいで、自分に好意を寄せる相手に対しても嫌悪感を抱いてしまうのでしょうか。
原因は幼さと理想の高さ?
「恋に恋していた感じだった」「子どもだった」と当時の自分を振り返る人も多く見られます。
若さや幼さが「蛙化現象」の原因の1つという説もあるそうです。
片思いの間は自分の理想を自由に思い描いていられます。
しかし、実際に付き合い始めると相手も人間なのですべてが自分の理想どおりにはいきません。
その現実を前にして、まだ若く経験も少ないうちは戸惑いや不安をうまくコントロールできないのかもしれません。
「蛙化現象」は改善する?
「蛙化現象」の原因は前述のようにいくつか予想できますが、それらとはまったく別の原因から起こるケースもあるでしょう。
若い頃に「蛙化現象」の経験があっても「大人になったらなくなった」という人もいます。
その一方で、「蛙化現象」を繰り返すことに悩んで精神科や心療内科を訪れる人もいます。
心の問題なので、簡単に断定するのは難しいかもしれませんね。
誤用された「蛙化現象」が起こったシチュエーション
では、本来の意味とは異なる使われ方で広まった「蛙化現象」の場合はどうでしょう。
「好意を持っていた相手の仕草や言動をきっかけに、急に気持ちが冷めてしまう現象」が起こったシチュエーションの例がこちらです。
- 好きな人が道で転ぶところを見た。
- 付き合った相手が絵文字や顔文字を使う人だった。
- 気になっていた人がくしゃみをするのを見た。
- 好きな人がカラオケでラップを完コピしていた。
- 彼がゼエハア言いながら走っている姿を見た。
- 彼の泳いでいる姿、息継ぎをしている顔を見た。
- プライベートで会ったらヘアスタイルがナチュラルじゃなかった。
- ジーンズの裾をロールアップしていた。
- コンビニのレジに並んでいる姿を見かけた。
相手に完ぺきを求めてしまう?
髪型や服装の好みから日常の何気ない行動まで、もはや何がきっかけになるかわかりませんね。
相手の言動をきっかけに気持ちが冷めてしまうタイプの「蛙化現象」は、なぜ起こるのでしょう?
1つには、恋愛やその相手に対して、完ぺきを求めてしまうことに原因がありそうです。
理想とする完ぺきな恋愛や恋人像への憧れが強く、少しでもズレるのが許せないというパターンです。
こういった傾向は、年齢や経験を重ねるにつれ改善していくともいわれます。
相手は理想の「推し」や王子様ではなく、自分と同じ生身の人間だと自然とわかっていくのかもしれませんね。
- 「蛙化現象」について、本来の意味と誤用のどちらも具体的な体験談を持っている人は多いようです。
- 「蛙化現象」の原因の一部には、「自己肯定感の低さ」「若さや幼さゆえの理想の高さ」があると考えられています。
「蛙化現象」の意味、誤用がこのまま定着する?
「蛙化現象」がメディアで紹介されたりして、本来の意味とは異なる使い方をしている人が増えていきそう。
このまま誤用のほうの意味が定着しちゃったりするのかな?
言葉の意味は変化していくものといわれます。
このまま世代を超えてより多くの人に認識されるようになれば、誤用の用法が定着することもあるかもしれません。
その一方で、誤用が広まることに困惑する人もいるようです。
誤用が定着? 戸惑う人も
「好きな人に冷めたシチュエーションあるある」のような形で取り上げられることも増えた「蛙化現象」。
この誤用が定着しつつあることを残念に感じる人もいます。
本来は、心理学で使用されていた用語。
精神科や心療内科で相談するほど思い悩んでいる人にとっては、戸惑いが大きいことも想像できます。
変化していく言葉の意味
言葉の意味は時代とともに変化していくものだともいいます。
言葉を正しく使うことを大切にしたいと思う人も多くいるでしょう。
同時に、言葉の変化を面白いと感じる人もいるでしょう。
ただ、別の意味にすり替わってしまうことで、本来の「蛙化現象」に悩む人が誤解を受けたり、相談する機会を失うケースが起こりうることも心配されます。
- 誤用の用法が「蛙化現象」の意味として定着する可能性も考えられますが、本来は心理学用語ということもあり、戸惑う人が増えることなどが心配されます。
まとめ
- Z世代の間で流行している「蛙化現象」の使用法は、本来の意味の誤用である
- 「蛙化現象」は、本来「好意を持っている相手から好意を寄せられた途端、相手に対して生理的嫌悪感を感じてしまう事象」を指す心理学用語である
- Z世代の間では、「蛙化現象」は「好意を持っていた相手の仕草や言動をきっかけに、急に気持ちが冷めてしまう現象」という意味で使われている
- 「蛙化現象」の語源は、『かえるの王さま』というグリム童話である
- 「蛙化現象」について、本来の意味でも誤用の用法でも、具体的な体験談を持っている人は多い
- 「蛙化現象」の原因の一部には、「自己肯定感の低さ」「若さや幼さゆえの理想の高さ」があると考えられている
- 誤用の用法が「蛙化現象」の意味として定着する可能性もあるが、本来は心理学用語という側面からも心配される点は多い
言葉の誤用。
本来の意味を大事にしたい気持ちもある一方で、時代とともに変化していくのは仕方ないのかもしれないという思いも。
今回は心理学用語ということもあり、より難しい問題ですよね。