教員不足が問題となっている今、やはり気になるのは自分たちの暮らす地域の現状です。
大切な子どもたちが通うことになる小学校や中学校。
教員の数はちゃんと足りているのでしょうか?
この記事では、文部科学省がおこなった調査をもとに、都道府県別の教員不足の状況をランキング形式でわかりやすくまとめています。
教員の数が不足している都道府県はどこなのか?
逆に、教員数の不足がない都道府県は?
さらに教員不足が心配される教科や教員不足の原因についてもチェック。
教員不足の現状が気になる人にとって役立つ記事となっています。
小学校教員が足りないのはどこ?教員不足の都道府県ランキング【小学校】
小学校の先生の数が1番足りない都道府県はどこなの?
小学校教師の不足数が多いのは、千葉県です。
千葉県は、2021年5月1日時点で小学校教師が91人不足しています。
また、教師不足が生じている学校の割合が高いのは熊本県です。
千葉県は県内の13.0%の小学校で教師の数が不足していますが、熊本県では県内の14.5%の小学校で教師の数が不足しています。
教員不足の都道府県ランキング【小学校】
教員不足の把握にはいくつかの指標が存在します。
今回は、「教師の不足数」「教師不足が生じている学校の割合」の2つについて、文部科学省がおこなった調査をもとにランキングを作成しました。
あなたが暮らす都道府県はランクインしているでしょうか?
都道府県別 教師の不足数ランキング【小学校】
都道府県名 | 不足人数(人) | |
1位 | 千葉県 | 91 |
2位 | 福岡県 | 69 |
3位 | 埼玉県 | 67 |
4位 | 大阪府 | 60 |
5位 | 茨城県 | 58 |
6位 | 愛知県 | 57 |
7位 | 福島県 | 52 |
8位 | 神奈川県 | 45 |
9位 | 島根県 | 42 |
10位 | 長崎県 | 41 |
「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)をもとに作成
以上のように、不足している教師の数が1番多いのは千葉県です。
また、千葉県を筆頭に、埼玉県・茨城県・神奈川県と関東地方から4県がランクインしているのがわかります。
都道府県別 教師不足が生じている学校の割合ランキング【小学校】
都道府県名 | 不足学校割合(%) | |
1位 | 熊本県 | 14.5 |
2位 | 福岡県 | 13.8 |
3位 | 千葉県 | 13.0 |
4位 | ⾧崎県 | 12.9 |
5位 | 福島県 | 12.2 |
6位 | 茨城県 | 12.1 |
7位 | 鳥取県 | 9.1 |
8位 | 大阪府 | 8.9 |
9位 | 埼玉県 | 8.1 |
10位 | 島根県 | 6.5 |
「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)をもとに作成
都道府県全体の小学校のうち、教師不足が生じている学校の割合が1番高いのは熊本県のようです。
また、熊本県・福岡県・長崎県と、九州地方から3つの県が上位にランクインしています。
小学校の教員不足が生じていない都道府県はある?
逆に、小学校の先生の数が足りている都道府県はあるのかな?
以下の6つの都道府県は、小学校教師の不足数が「0」となっています。
- 山形県
- 群馬県
- 東京都
- 新潟県
- 和歌山県
- 山口県
出典:「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)
(2023年4月30日に利用)
今回の調査結果からは、これらの6つの都道府県で小学校の教員不足は起こっていないと考えられます。
しかし、文部科学省のデータは2021年5月1日時点のもの。
東京都教育委員会がおこなった調査では、2022年9月1日時点で都内公立小学校における教師の欠員数が130人にのぼっているとか。
教員不足は年々加速しているといわれており、今回不足数が少なかった都道府県でも安心はできないのかもしれません。
中学校教員が足りないのはどこ?教員不足の都道府県ランキング【中学校】
中学校の先生の数が1番足りない都道府県はどこなの?
中学校教師の不足数が多いのは、福岡県です。
福岡県は、2021年5月1日時点で中学校教師が59人不足しています。
また、教師不足が生じている学校の割合が高いのは茨城県です。
福岡県は県内の20.0%の中学校で教師の数が不足していますが、茨城県では県内の24.0%の中学校で教師の数が不足しています。
教員不足の都道府県ランキング【中学校】
中学校についても、「教師の不足数」「教師不足が生じている学校の割合」の2つについて、文部科学省がおこなった調査をもとにランキングを作成しました。
小学校と傾向は変わらないでしょうか?
都道府県別 教師の不足数ランキング【中学校】
都道府県別 | 不足人数(人) | |
1位 | 福岡県 | 59 |
2位 | 兵庫県 | 57 |
3位 | 茨城県 | 55 |
4位 | 愛知県 | 50 |
4位 | 大阪府 | 50 |
6位 | 熊本県 | 42 |
7位 | 埼玉県 | 40 |
8位 | ⾧崎県 | 38 |
9位 | 千葉県 | 33 |
10位 | 神奈川県 | 27 |
「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)をもとに作成
小学校のランキングと同じような都道府県名が並んでいますね。
8つの都道府県が、小学校と中学校両方でランクインしてしまいました。
都道府県別 教師不足が生じている学校の割合ランキング【中学校】
都道府県別 | 不足学校割合(%) | |
1位 | 茨城県 | 24.0 |
2位 | 熊本県 | 23.1 |
3位 | ⾧崎県 | 22.6 |
4位 | 福岡県 | 20.0 |
5位 | 大阪府 | 13.3 |
6位 | 大分県 | 12.5 |
7位 | 兵庫県 | 12.4 |
8位 | 埼玉県 | 11.2 |
9位 | 佐賀県 | 11.1 |
10位 | 愛知県 | 10.0 |
「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)をもとに作成
小学校の場合、不足割合1位の熊本県で14.5%という数字でした。
一方、中学校の場合ランキング4位までが20%以上です。
また、九州地方から5つの県がランクインしています。
中学校教員不足が生じていない都道府県はある?
中学校の先生の数が足りている都道府県はあるのかな?
以下の8つの都道府県は、 中学校教師の不足数が「0」となっています。
- 岩手県
- 秋田県
- 山形県
- 東京都
- 新潟県
- 山梨県
- 和歌山県
- 高知県
出典:「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)
(2023年4月30日に利用)
今回の調査結果からは、2021年5月1日時点でこれら8つの都道府県で中学校の教員不足は起こっていないと考えられます。
しかし、前述のように、2022年にはすでに都内公立小学校で教員の欠員が出ているという調査結果もあるようです。
これらの都道府県においても、教員不足は楽観視できない問題なのかもしれません。
特に教員が不足しているのはどの教科?
教科によって不足数はちがうのかな?
特に教員数が足りない教科はある?
教科担任が不足している中学校の数が多かった教科は、「家庭」のようです。
2021年5月1日時点で、教科担任が不足しているために授業をおこなえない科目がある中学校が16校あったといいます。
16校のうち、担当できる教員が不足していた教科の内訳は以下のようになっています。
担当教科 | 学校数 |
家庭 | 8 |
音楽 | 2 |
美術 | 2 |
数学 | 1 |
理科 | 1 |
技術 | 1 |
外国語(英語) | 1 |
「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)をもとに作成
以上のように、家庭の授業を担当できる教員が不足していた中学校が比較的多かったようです。
なお、必要な授業ができない事態は、7月までにすべての中学校で解消したとのこと。
授業ができないような状況が発生した学校は全体の中ではわずかですが、子どもたちにとって望ましい事態ではありません。
今後、同じような事態が増加しないように対策がとられるといいですね。
教員不足の原因は?
教員不足の原因はなんだろう?
教員不足の原因には、特に以下の4点が考えられるようです。
- 産休・育休を取得する教員が見込みより多かった
- 特別支援学級などの影響で必要な教員数が増えた
- 病気などで休職する教員が見込みより多かった
- 欠員を補うための講師などが足りない
原因その1 産休・育休を取得する教員が見込みより多かった
教員不足が発生している自治体が回答したアンケート調査によれば、産休・育休取得者数が見込みより多かったと認識している自治体の数は8割を超えています。
(「よくあてはまる」または「どちらかといえばあてはまる」と答えた数が、66の自治体のうち53)
産休・育休取得者数が多くなった理由に、年齢の若い教員が増えたことが挙げられるといいます。
ベテラン教員の定年などが重なり退職者が増え、代わりに若い世代の採用が進んでいます。
そのため、産休・育休をとる時期にさしかかるという人の数も多くなるようです。
原因その2 特別支援学級などの影響で必要な教員数が増えた
また、特別支援学級の数が見込みより多かったと認識している自治体は約7割にのぼりました。
(「よくあてはまる」または「どちらかといえばあてはまる」と答えた数が、66の自治体のうち47)
特別支援学級とは、障害のある子どもの学習や生活のために設けられるクラス。
近年ニーズが高まっているのだとか。
特別支援学級が増加すれば当然担当する教員も必要になりますが、見込みより多かったために教員不足につながったようです。
原因その3 病気などで休職する教員が見込みより多かった
病休者数が見込みより多かったと認識している自治体も多いようです。
(「よくあてはまる」または「どちらかといえばあてはまる」と答えた数が、66の自治体のうち49)
近年、精神的な病気で休職を余儀なくされる教員が増加しているという報道も。
その原因の一端に人手不足による教員の負担増があるともいわれています。
原因その4 欠員を補うための講師などが足りない
産休や病休による欠員が出ても、それを補うことができれば教員不足は起きません。
ところが、代わりに雇用する臨時的任用教員や講師の数が足りず、欠員を補うことができないといいます。
教員採用試験の倍率低下が講師不足につながる
講師のなり手で多いのは、教員採用試験で合格できなかった人が非正規雇用の講師として働くケースです。
ところが、受験者数減少と教員不足により、近年教員採用試験の倍率が低下しています。
倍率低下により不合格者の数が減った結果、講師として働く人が足りなくなるという事態が起きています。
こうして講師のなり手が少なくなったため、欠員を補うことができず、教員不足が加速しているようです。
出典:「教師不足に関する実態調査」(文部科学省)
(https://www.mext.go.jp/content/20220128-mxt_kyoikujinzai01-000020293-2.pdf)
(2023年4月30日に利用)
まとめ
- 2021年5月1日時点で小学校教師の不足数が多いのは千葉県、教師不足が生じている小学校の割合が高いのは熊本県である
- 逆に、小学校教師の不足数が0だった都道府県は6つあった
- 2021年5月1日時点で中学校教師の不足数が多いのは福岡県、教師不足が生じている中学校の割合が高いのは茨城県である
- 逆に、中学校教師の不足数が0だった都道府県は8つあった
- 2021年5月1日時点で、担当教師が不足している中学校の数が比較的多かった教科は「家庭」である
- 教員不足の原因には、「産休・育休を取得する教員が見込みより多かった」「特別支援学級などの影響で必要な教員数が増えた」「病気などで休職する教員が見込みより多かった」「欠員を補うための講師などが足りない」などが考えられる
お子さんがまだ小さい方は特に、地域の教員不足の実態が気になりますよね。
教員が不足している都道府県もあれば、不足数が0の都道府県もあるという現状。
どの地域の子どもたちにも平等に、勉強や生活のための環境が整えてあげられたらいいのですが。