2030年冬季オリンピックの招致を札幌市が目指すことに対して、さまざまな意見があるようです。
東京オリンピックをめぐる残念なニュースも、本来華やかなイベントであるオリンピックの印象に影を落としている様子……。
2034年に招致を延期なんて話も聞こえてきて、いったいどうなるのか気になってしまいますね。
そこで、今回は以下のような疑問について調べてみました。
- 2030年札幌オリンピックに反対している人には、いったいどんな理由があるの?
- 逆に、2030年札幌オリンピックに賛成する理由は?
2030年札幌オリンピック招致が今後どうなっていくのか、関心を持った人に役立つ記事となっています。
2030年札幌オリンピックの開催が反対される理由は?
2030年の札幌オリンピック開催は、なぜ反対されているの?
札幌市が招致を目指しているものの、反対する市民も多いといわれる2030年の冬季オリンピック。
2030年の札幌オリンピック開催が反対されている理由には、主に以下の3つが挙げられるようです。
- ほかの問題にくらべて優先順位が低いから
- お金がかかるから
- オリンピックに対して信頼できない気持ちが強くなったから
優先順位?信頼できない?
それぞれどういうことなんだろう?
理由その1 ほかの問題にくらべて優先順位が低い
1つ目の理由を挙げている人は、特に地元である札幌市の住民に多いようです。
つまり、札幌市民の中には「オリンピックより先に取り組んでほしい問題がある」と感じている人が少なくないようなのです。
オリンピックより先に取り組んでほしい問題とは?
特に市民を困らせている問題の1つは、「除雪が間に合っていない」ことだとか。
札幌市は、降雪量に応じて市内の道路などを除雪・排雪しています。
排雪とは、除雪した雪を運び出す作業のことで、除雪同様に雪国の暮らしにはとても重要です。
しかし、大雪が重なった年にはその作業が間に合わず、市民の日常生活の妨げになってしまったことも。
クレームも多く寄せられたといいます。
雪で道路がふさがってしまえば、一般市民の通行に不便が生じるうえ、救急車などの緊急車両が通れないということも起こりえます。
たしかに、除雪・排雪は、雪国に住む人たちの暮らしや安全のために優先して対策されるべき問題なのかもしれません。
札幌市が雪対策を見直した今年は、除雪・排雪が昨年よりスムーズになったという話も聞こえてきます。
とはいえ、「オリンピックより市民の生活や安全のほうを重視してほしい」という気持ちになるのは仕方のないことかもしれません。
理由その2 お金がかかる
光熱費や食品の値上がりが続いています。
生活費のやりくりも大変ですよね。
明らかにお金のかかるとわかるオリンピックに対して、「そんな余裕がどこにあるの?」と言いたくなる気持ちはよくわかります。
余裕があるなら、私たちの生活を支援してほしい……。
特に札幌市民にとっては、市のお金や自分たちが納めた税金が使われるわけですから大問題。
現在のところ、施設の整備にかかる費用には税金が使われる予定だとか。
2023年3月時点では、札幌市が負担する費用は約490億円と試算されています。
市民のみなさんは、どう感じるでしょうか。
理由その3 オリンピックに対して信頼できない気持ちが強くなった
3つ目の理由は、東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件が報道されるにつれ増えてきたものと考えられます。
コロナ禍での五輪開催にはさまざまな意見や解決しなければならない問題がありました。
それでも、数々の困難を乗り越えて開催されたのが、東京でおこなわれた2020年夏季オリンピックです。
私もテレビの前でいくつかの競技を観戦しましたが、各国の選手たちの活躍に心が熱くなった瞬間が何度もありました。
そんなオリンピックの裏側にまつわる事件の報道を目にすると、やはりとても残念です。
報道される事件の内容に対して怒りを覚えたり、不信感を感じたりした人は少なくないでしょう。
オリンピックに対して期待や希望が持てなくなったとしても不思議ではありません。
反対理由について、札幌市の説明は?
それぞれの反対理由について、札幌市はどう言っているの?
札幌市は、札幌オリンピック開催に対する市民からのいくつかの疑問に回答しています。
そのうち、前述した反対理由に関係すると思われる説明に以下のようなものがあるようです。
- 「大会運営費」と除雪対策などに使うお金は別
- 施設の建て替えや改修はオリンピックの有無にかかわらず必要
- 透明性や公正性を確保した招致活動ができるよう検討する
なるほど、市民の疑問の声は届いてはいるんですね。
「大会運営費」と除雪対策などに使うお金は別
「オリンピックは、ほかの問題(除雪対策など)にくらべて優先順位が低い」という反対理由についてはどうでしょう。
この意見に対しては、費用の面から説明ができるようです。
オリンピックに使われるお金を除雪対策など市民にとって優先度の高い問題にあててほしいと思う人も多いはず。
しかし、オリンピックに使われる「大会運営費」というお金はオリンピックの運営のために集められるものであり、ほかの目的のために使うことはできないそうです。
少なくとも費用のうえでは、どちらを優先するというものではないようですね。
とはいえ、オリンピック招致のために使われる時間や労力を使って、先に解決してもらいたい問題があるという市民は少なくないはずです。
施設の整備費用はオリンピックの有無にかかわらず必要
「お金がかかる」という問題に対してはどうでしょう。
前述した「大会運営費」については、税金を含めた市のお金は使われないのだとか。
一方、税金でまかなわれるのが「施設整備費」の一部です。
オリンピックに使われる施設を整備するために多額の税金が使われるといいます。
しかし、札幌市によれば老朽化した施設の建て替えや改修はオリンピックの有無にかかわらず必要とのこと。
たとえ2030年に札幌オリンピックが開催されなくても、いずれ必要となるお金だそうです。
透明性や公正性を確保した招致活動ができるよう検討する
東京オリンピック・パラリンピックで起きてしまった事件や疑惑についてはどうでしょう。
札幌市も、オリンピック・パラリンピックに対するイメージの低下を重く受け止めているようです。
札幌市は、オリンピックの招致活動について、透明性や公正性を確保できるよう検討していくとのこと。
しかし、一度失った信頼を取り戻すのは簡単ではありませんよね。
具体的にどのように透明性を確保していくのか、気になるところです。
出典:札幌市公式ホームページ
(https://www.city.sapporo.jp/)
出典:「冬季オリンピック・パラリンピック招致に関するよくある質問一覧」
(https://www.city.sapporo.jp/sports/olympic/documents/202303qa.pdf)
(2023年4月18日に利用)
2030年の札幌オリンピック開催、賛成と反対どっちが多い?
結局、札幌オリンピックに賛成の人と反対の人はどっちが多いの?
実際のところ、
札幌市民に対する調査では、「反対」の回答のほうが多いようです。
一方、全国に向けた調査では、「賛成」の回答のほうが多いようです。
札幌市と全国で意見が割れているんですね!
札幌市民の6割が札幌オリンピックに反対
先日4月9日の札幌市長選の投票時、北海道ニュースUHBの出口調査で2030年のオリンピック招致に対する意見についても調査をおこなったそうです。
その結果、6割が招致に反対だったといいます。
ほかのメディアによる出口調査でも、オリンピック招致に対して6割前後の市民が反対と回答したようです。
出典:北海道ニュースUHB(2023年4月9日)
(https://www.uhb.jp/news/single.html?id=34749)
(2023年4月18日に利用)
逆に全国では約6割が賛成
一方で、全国民を対象とした調査では、賛成意見が反対意見を上回る結果が出ることも。
読売新聞社が2023年1〜2月におこなった全国世論調査では、2030年札幌オリンピック招致に対して賛成との回答が6割を超えたそうです。
さらに、朝日新聞社が3月におこなった全国世論調査でも賛成が6割だったとのこと。
2020年東京オリンピックのときにもさまざまな意見がありましたから、賛成の声が多いのはちょっと意外でした。
ただ、読売新聞社の調査では、「賛成」の回答数が前回より減少しているのがわかります。
今後の動きにますます注目したいところです。
出典:読売新聞オンライン(2023年3月7日)
(https://www.yomiuri.co.jp/election/yoron-chosa/20230307-OYT1T50116/)
(2023年4月18日に利用)
出典:日浦統著 朝日新聞DIGITAL(2023年3月20日)
(https://www.asahi.com/articles/ASR3N6HTNR3NIIPE00V.html)
(2023年4月18日に利用)
2030年札幌オリンピック開催に対する賛成意見の理由は?
2030年の札幌オリンピック開催に賛成する理由には、どんなものがあるんだろう?
ここまで反対される理由について見てきましたから、今度は賛成している人がどんなことを考えているのか気になりますね。
2030年札幌オリンピックに対して賛成意見を示す理由には、
経済の活性化を期待する声が多いようです。
オリンピックを開催すると、大きな経済効果があるといいますね!
札幌市は数千億の経済効果を見込んでいると試算結果を発表していますから、期待が高まったとしてもおかしくありません。
また、札幌市民の中には、札幌のまちがより便利で暮らしやすくなることを理由に挙げた人もいたようです。
オリンピックの開催地として注目されれば、まちの整備も加速するでしょう。
賛成意見を示した人は、オリンピック開催によって期待されるメリットに素直に目を向けている様子。
札幌オリンピック招致によるメリットとデメリット、市民にとってどちらが大きいのでしょうか。
出典:北海道新聞(2023年1月8日)
(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/784671)
(2023年4月18日に利用)
まとめ
- 2030年の札幌オリンピック開催が反対されている理由には、「ほかの問題にくらべて優先順位が低いから」「お金がかかるから」「オリンピックに対して信頼できない気持ちが強くなったから」などがある
- 「大会運営費」と除雪対策などに使うお金は別であり、費用の面ではどちらを優先するというものではない
- 札幌市によれば、施設の整備費用はオリンピックの有無にかかわらず必要であり、オリンピックだから特にお金がかかるわけではないとしている
- 東京オリンピック・パラリンピックをめぐる汚職事件を受けて、札幌市では透明性や公正性を確保した招致活動ができるよう検討している
- 2023年4月におこなわれた市長選の出口調査では、札幌市民の約6割が札幌オリンピックに反対と回答している
- 2023年におこなわれた全国世論調査では、逆に約6割が札幌オリンピックに賛成と回答している
- 2030年札幌オリンピックに対する賛成意見の理由には、経済の活性化を期待する声が多いようである
2030年の札幌オリンピック招致。
札幌市民にとっては、現時点では期待よりも不安のほうが大きいようですね。
2034年に招致を延ばすといった話も聞こえ始めていますが、いったいどうなっていくのか気になります。