少子化問題について、その理由や対策がさまざまに議論されているようですね。
一方で、若い人の間から「じゃあ子どもをつくろう!」「2人目、3人目を産もう!」という声はなかなかあがってこない様子…。
若い人のなかには「少子化が進むのは当たり前」と考えている人も多いようです。
「少子化なんて知ったことか」という声まで聞こえてきます。
子どもを持つことに積極的になれないのが当然といわれる理由は?
少子化が当たり前だと感じている人たちが今どんなことを考えているのか。
実際にあがっている声についてご紹介します。
少子化は当たり前!理由は「お金」?
少子化が問題となっている昨今。
そのもっとも大きな理由として考えられるのは、
若い人たちをとりまく経済的に余裕がない現状です。
国立の研究機関の調査結果にも…
妻の年齢が55歳未満の夫婦を対象に、国立の研究機関が2021年に実施した調査があります。
「理想の数の子どもを持たない理由」について提示された選択肢のうち、選択した人がもっとも多かったのは「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という理由でした(複数回答)
特に妻の年齢が35歳未満の夫婦においては、8割弱の回答者が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」を選択しています。
また、「家が狭いから」という回答も2割を超えていました。
たしかに、若い人の多くが子育てにかかるお金を負担に感じていることがうかがえます。
子どもを何人も持つような経済的余裕のある家庭が少ないのであれば、少子化が進むのは当たり前といえるのかもしれません。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/)
出典:「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(国立社会保障・人口問題研究所)
(https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp)
(2023年2月27日に利用)
少子化は当たり前!お金を理由に挙げる人たちの実際の声は?
SNSなどに見られる「経済的に余裕がないのだから、少子化が進むのは当たり前」という声。
具体的には、
- 「給料が上がらない」
- 「税金や保険料の負担が重い」
- 「教育費が高い」
といった理由で、子どもを産むようなお金の余裕がないと感じている人が多いようです。
「給料が上がらないんだから、少子化は当たり前」
「賃金が上がらない」「手取りが少ない」という声はやはり多数見られます。
物の値段は上がっていく一方なのに、賃金は低いまま。
「自分の生活だけで精一杯! 子どもなんて無理!」という若い人たちの切実な叫びが聞こえてきます…。
なかには「結婚や子育ては金持ちの道楽」という声まで!
このままでは、結婚も子どもを持つことも一部の上流階級に限られるようになるというのです。
本当にそんなことになってしまうのでしょうか…?
「税金や保険料の負担が重すぎる! 少子化は当たり前」
税金や保険料の負担が大きすぎるという声もよく見られます。
財務省の発表によれば、現在の日本では税金や保険料が所得のほぼ半分を占めているのだとか。
たとえ給料が増えたり残業代がついたりしても、結局は税金や保険料で手取りが少なくなる現状を嘆く声も多いようです…。
これでは子どもを持つことなんて考えられませんよね。
税金や保険料の負担が大きいことも、若い人から結婚や出産の機会を奪うひとつの要因となっているのかもしれません。
出典:財務省ウェブサイト(https://www.mof.go.jp/)
出典:「国民負担率」(財務省)(https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/)(2023年2月27日に利用)
「教育費が高くて何人も育てるのは難しい…少子化は当たり前」
子どもにかかるお金の額が昔とはちがうという声も。
特に教育費の負担は重く、若い人たちに不安を抱かせていることがうかがえます。
私も大学受験のころには、親から「国立以外は無理だからね」とプレッシャーをかけられた思い出が。
実際自分が家庭を持つようになり私立大学の4年間に支払う学費を目の当たりにすると、当時の親の気持ちもよくわかります。
1人大学まで卒業させるだけでもこんなにかかるのに、これが2人、3人…?
経済的に余裕のない若い人たちが、「とても無理!」と思ってしまうのは当然なのかもしれません。
以上のように、若い人たちが
給料が上がらないこと
税金や保険料の負担が重いこと
教育費が高いこと
などに対して不安を覚えていることがわかりました。
これらの問題がクリアにならなければ、子どもを産むことに対して積極的になれないのではないでしょうか。
少子化は当たり前!「時代が変わったこと」も理由の1つ?
少子化が進むことを当たり前だと考えているのは、経済的問題を理由に挙げる人ばかりではないようです。
もう1つの大きな理由に、
昔とは結婚や出産に対する意識が変わったことがありそうです。
もう「若いうちに結婚・出産するのが当然」という時代ではない
18〜34歳の結婚意思のある未婚者を対象に、現在独身である理由をたずねた調査があります。
その結果を見ると、経済的問題よりも「適当な相手にまだめぐり会わないから」「結婚する必要性をまだ感じないから」といった理由を選択した人のほうが多いのです。
25〜34歳の男女においては、「独身の自由さや気楽さを失いたくない」と考えている人も一定数いることがわかります。
家のため、国のため、まだ若いうちからお見合いをして結婚して子どもをつくることが当然とされた時代もあったといいます。
早く結婚した人が”勝ち組”といわれた時代もありました。
しかし、時代は変わり、若い人たちの意識も変化したようです。
今は、自分の人生を自分で選択できる時代なのでしょう。
若いうちの結婚や出産は、幸せの絶対条件ではなくなりました。
出会いを待つことも、自由な生活を楽しむことも自由。
その結果、結婚時期が遅くなることで将来持つ子どもの人数が減ることもあるでしょう。
結婚しない・子どもをつくらないという選択をする人も増えたはずです。
以上のように、時代が変わり、若い人の意識が変わったことを理由に、少子化が進むのは当たり前だという考えを持つ人も多いようです。
出典:国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/)
出典:「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(国立社会保障・人口問題研究所)
(https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/doukou16_gaiyo.asp)
(2023年2月27日に利用)
少子化なんて知ったことか!個人の幸せを優先する人が増えた?
「少子化なんて知ったことか」という声は、どんな感情から生まれるのでしょう。
時代が変わり、若い人の意識が変わったことで、
家や社会より個人の幸せを大切にする人が増えたということなのかもしれません。
実際にどんな声があがっているのでしょうか?
自分の人生は自分のために使いたい!
金銭的にも精神的にも、子どもを育てるのは大変です。
女性の場合、出産や育児のために仕事や趣味を中断せざるをえない場合も多くあります。
もちろん、男性だって生活が一変してしまうことに不安を覚える人はいるでしょう。
子どもを産んで得られる幸せもありますが、同じように子どもを産まずに自分の人生を生きることで得られる幸せも否定することはできません。
子どもを産むのが当然という価値観はすでに変化しています。
親になることを選択しない人生を生きたいと考えることも、個人の自由なんですよね。
結婚も出産も社会のためにするものじゃなく個人の自由でしょ
結婚する・しない。
子どもをつくる・つくらない。
家や社会に縛られずそれらが自由に選択できる時代、「少子化だから子どもを産まなきゃ!」とはなりませんよね。
少子化はたしかに対策を講じなければならない社会の問題ですが、それを理由に若い人に出産を押し付けられても困ってしまうはず。
「少子化なんて知ったことか!」と言いたくなってしまう気持ちも少しわかる気がします。
少子化対策のために増税されるのは納得いかない
ただでさえ経済的に苦しい思いをしているなかで、少子化対策のために自分の納める税金が増えるのは嫌だという声も。
誰しも自分の生活だけで手一杯な昨今。
社会のことよりも、今手元にある個人の生活や幸せを守ることを優先したくなる人は多いでしょう。
子どもを持たない人が「自分の稼いだお金をどうして他人の子どものために使われなきゃいけないの?」と感じるのも無理はないかもしれません。
以上のように、若い人のなかには
「自分や他人の子育てより、自分の人生を大切にしたい」
と考えている人もいるようです。
結婚しなくても、子どもを産まなくても幸せになれる時代。
自分の人生なんだから、自分が幸せになれる選択をしたいと思うのは当然なのかもしれません。
それができる社会であってほしいことと、少子化問題の対策が両立できる方法はあるのでしょうか?
まとめ
- 若い人の多くが子育てにかかるお金を負担に感じている
- 「給料が上がらない」「税金や保険料の負担が重い」「教育費が高い」などの経済的理由で、少子化が進むのは当たり前だという意見がある
- 昔とは結婚や出産に対する意識が変わったことを理由に、少子化が進むのは当たり前だという意見がある
- 少子化問題よりも、個人の幸せを大切にしたいという考えもある
結婚も出産も自由に選択できる時代になったというのは、それはそれで素敵なことだと思えます。
一方で少子化問題にも対策は必要なようで…。
お金の問題を解決するのはもちろんですが、それだけでは少子化の進行は止められないのかもしれません。