水族館のジンベエザメが放流される理由はなぜ?ジンベイザメが見れる水族館はどこ?

大きな水槽の中で泳ぐジンベエザメ。

身体が大きく泳ぎ方もゆったりなので水族館で見つけるとつい見入ってしまいますよね。

ですが、水族館で飼育されているジンベエザメはある日突然海に放流されることがあります。

水族館で飼育しているジンベエザメを海に放流することにはいったいどのような理由があるのでしょうか。

現在、ジンベエザメを見ることが出来る水族館などについても調べてみました。

目次

ジンベエザメとは?

ところで、ジンベエザメってどんな魚なんですか?

先にジンベエザメの生態について知っていきましょう

絶滅危惧種

ジンベエザメは水族館に展示されていますが、実は絶滅危惧種(EN)に指定されている生物の1種です。

テンジクザメ目ジンベエザメ科に属する唯一のサメとしても知られています。

なぜ絶滅危惧種になってしまったのでしょうか?

様々な要因はありますが、絶滅危惧種となった要因に「過剰な漁獲」「生息地の破壊」「船のスクリューによる巻き込まれ事故」などが挙げられています。

過剰な漁獲

ジンベエザメが絶滅危惧種となった1つ目の要因は、ジンベエザメが持つ鰭(ヒレ)を目的とした過剰な漁獲です。

一部の国では、サメのヒレが高級食材として扱われており、ジンベエザメもヒレを目的とした過剰な漁獲が相次ぎました。

サメの保護が国際的な問題に発展してからはジンベエザメを含むサメの漁獲は非常に厳しくなり、現在はサメを捕獲することや、ヒレの取引は国際的に規制されています。

生息地の破壊

タンカーの座礁事故による原油汚染や、海水温の上昇など、生息地の破壊もジンベエザメの個体を減らす要因になっています。

ジンベエザメはプランクトンや小魚など、大きな身体でありながら非常に小さな餌を主食とした生き物です。

小さなプランクトンや小魚は当然海の影響も受けやすく、場所によっては海洋汚染された海の周りではプランクトンや小魚などの増減の振り幅も大きいものとなります。

もし汚染された海の周りに生息するプランクトンをジンベエザメが捕食してしまえば致命的なダメージを負うこともあるかもしれません。

海に浮いているゴミなどを誤って食べてしまうケースも多いようです。

スクリューによる巻き込まれ事故

ジンベエザメだけに限った話ではありませんが、海の生き物が船のスクリューに巻き込まれて怪我をするという事故も発生しています。

餌を求めて広い海域を行き来するジンベエザメですから、ちょっとした怪我が生存に関わる致命的な怪我にもなりかねません。

広い海域を行き来することや、生態が明らかになっていないこともありジンベエザメの正しい数を把握するのは難しいとのことですが、絶滅危惧種に指定されるほど数が少なくなっているのは確かなようです。

魚類の中で最大種

ジンベエザメは成長するにつれ、およそ約12メートルから最大で20メートルに成長します。

体重も身体の大きさに比例して増えていき、20トンという重さになる個体もいるんだとか。

ジンベエザメの小さな個体でも5、6メートルには成長するといわれています。

ほかの魚類では聞いたことがないスケールのサイズ感ですよね。ジンベエザメは魚類の中で最も大きい種といわれています。

寿命は70年から100年

ジンベエザメの寿命は約70年から100年といわれています。

大人になるまでは25年から30年の年月がかかり、人間とも成長サイクルが少し似ているかもしれません。

とても寿命が長いジンベエザメですが、子を繁殖する機会はあまり多くなく、子を宿すに至るまで30年もの長い時間をかけることもあるとか。

繁殖する機会が他の魚種に比べても明らかに少ないですよね。

こういった背景もジンベエザメが増えにくい要因になっているのかもしれません。

鮫だけど穏やか

鮫と聞くと、人が海にいるだけで襲ってくるという「凶暴」な生き物のイメージを持っている方は多いと思いますが、ジンベエザメは鮫の魚種でありながら、非常に温厚な性格であることが知られています。

主食もプランクトンや小魚であり、人間を襲うことはほぼありません

いつか一緒に泳いでみたいです!

絶滅危惧種に指定されているジンベイザメ。現在は国際的に捕獲や販売などに厳しい規制がなされています。

国際的にジンベイザメは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」の対象種であり、日本でも「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」という法律によって守られています。

これらの厳しい規制の目をかいくぐってジンベイザメが捕獲されているケースもあるようですが、ジンベイザメの個体保護は国際的な問題に発展しており、守るべき種であることが窺えます。

飼育しているジンベイザメを海に放流する理由

飼育しているジンベイザメをあえて海に放流する理由はなんですか?

現在なんの問題もなく水族館で飼育しているジンベイザメをあえて海に放流するということについて疑問がありましたが、以下のような理由があるようです。

スペースの確保が難しい

ジンベエザメは魚類の中でも最大の種と呼ばれるほど体長が大きくなります。

成長すると全長が約12メートルから最大で20メートルにまで成長する個体がいるほどです。体重に至っては20トンに達することもあるそうで、当然その大きな身体が泳ぐためのスペースを確保した水槽が必要になってきますが、日本でそういったスペースを確保するのは困難だそうです。

餌の確保が難しい

これだけ大きな身体を持つジンベイザメは餌も当然大量に消費します。

ジンベイザメの餌は、前述したとおり海中を漂うプランクトンや小魚です。

あの大きな身体で小さなプランクトンを主としているのですから、当然消費するプランクトンの数も普通ではありません。

また、量だけではなく自然界の海では様々な種類のプランクトンを得て食事のバランスを保っていますが、人工的に作られた水族館の水槽ではその食事のバランスを維持するのは難しいようです。

保護活動を目的にした放流

絶滅危惧種に指定されているジンベイザメを自然環境に戻すことにより、野生のジンベイザメの個体数を増やし、少しでも種の保護に貢献することができるため、放流する場合があるようです。

放流を視野に入れている水族館のジンベイザメの健康状態が良好であること怪我がないこと、こういったジンベイザメの体調を考慮した上で慎重に海へと放流されています

大阪にある水族館・海遊館では過去にも水族館で飼育していたジンベイザメを海に放流したことがあり、放流を成功させてきました。

研究のため

実のところ、ジンベイザメの生態はまだまだ謎が多く、分からないことが多い状況です。

こういった生態の謎を明らかにするために飼育していたジンベイザメを自然環境に放流し、その後の行動を追跡することで、生態をより深く理解することに繋がり今後の保護活動などに役立てることができます

ジンベイザメを見ることができる国内の水族館

絶滅危惧種に指定されているジンベイザメですが、国内でジンベイザメを見ることができる水族館はどれくらいあるのでしょうか。

美ら海水族館(沖縄県)

飼育頭数 1頭

ジンタ

沖縄県にある美ら海水族館では、7,500㎡もの巨大な水槽の中で1頭のジンベエザメが飼育されており、2025年3月で飼育年数30年を迎えます。

遠いけど行ってみたいですね!

海遊館(大阪府)

飼育頭数 2頭

海遊館では2頭のオス(海)とメス(遊)のジンベエザメが飼育されているようです。

歴代飼育されてきたジンベイザメは、オスには海、メスには遊と名前が付けられているようです。

2024年11月の段階で飼育されているオスのジンベイザメ海くんは7代目で、メスのジンベイザメ遊ちゃんは4代目、といわれています。

いおワールドかごしま水族館(鹿児島県)

飼育頭数 1頭

ユウユウ

鹿児島県にあるいおワールドかごしま水族館では、ユウユウという名前のジンベイザメが飼育されています。

海遊館と同様に、飼育されているジンベイザメの名前は歴代ユウユウという名前が引き継がれているようです。

現在飼育されているユウユウは10代目だそうです。

まとめ

  • ジンベイザメは絶滅危惧種に指定されている
  • 過剰な漁獲、生息地が減少していることなどがジンベイザメの個体数を減らしている
  • 個体保護のために条約や法律によって漁獲や販売は厳しく規制されている
  • ジンベイザメを海に放流する理由として、スペースの確保が難しいこと
  • 餌の確保が難しいこと
  • 放流することによって、生態の謎を明らかにするなどの理由がある
  • 現在ジンベイザメを見ることができる水族館は3つある(2024年現在)
  • 美ら海水族館(沖縄県)1頭
  • 海遊館(大阪府)2頭
  • いおワールドかごしま水族館(鹿児島県)1頭

今回は、魚類最大種と呼ばれるジンベエザメについてまとめました。

なぜ水族館で飼育されているジンベイザメが突然海に放流されるのだろうと疑問に思っていましたが、こういった理由があったようです。

今後、もっと野生のジンベイザメの数が増えていくといいですよね♪

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